第十四章
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とした、同じトーンで話し続ける。…とてもいやな感じがした。なんていうか、自分を覆い隠すことに慣れてしまった奴特有の、たまらなく平面的なあの感じだ。
「烏崎達、しくじったぜ」
『君が、何を言おうとしているのかは分からないが、そういえば烏崎君の姿が見えないね』
「…まぁいい。で?今更俺に何の用だ。万策尽きて、投降のお誘いか」
『まさか。…逆に、君に投降してもらっては困る。あのデータを持ったままでね』
「何が言いたい?」
『取り引きだよ。今なら、逮捕状が出ていない。パスポートは持っているんだろう?…海外への逃走経路と、一生困らない金額を提供する。…君の持っているデータと引き換えに』
紺野さんの口元に、皮肉な笑みがこぼれた。
「俺のデータと、名誉だろ」
『英語はそこそこ堪能だっただろう。英語で生活できる地域を検討する。…そうだ、支社があるインドはどうだい?これからも、わが社で君の優秀な能力を活かしてもらえる』
「ふざけるな…!だったらデータを持ったまま、警察に投降してやる。俺は無実だ、そんなことは裁判でいくらでも証明できる!!」
『そうは行かない。君が私の好意を受け取らないなら、それが君の雇った弁護士に流れる。…それだけのことだ』
「…てめぇっ!!」
紺野さんの歯軋りが聞こえた。
『タイムリミットは、逮捕状が出るまでだ。賢明な回答を願うよ。では…』
「ちょっと待って!!」
紺野さんの手から携帯をもぎ取った。…今、この男と話しておきたい。そして、確認しておきたいことがあった。
『誰、かな?』
「紺野さんの友人です。…ちょっと、聞きたいことがあるんです」
『…困ったねぇ。部外者に聞かれてしまったか』
「僕は巻き込まれただけです。どうしても気になるんだったら、口封じでもなんでも、あとで考えればいい」
『随分、悪者にされたね。…で?』
「あなたは多分、とても慎重な人ですよね」
伊佐木は、何も答えない。僕はかまわず言葉を続けた。
「僕は、亡くなった武内という人に襲われました。その時の画像もばっちり抑えた。襲撃してきたのは4人。主犯は多分、烏崎という人です」
『……憶測だね、烏崎の件は。武内はただ単に、酔ってたのかもしれない』
「ゆする気で言ったんじゃないです」
『じゃ、何かな』
「ちょっと、大雑把すぎないかと思って」
伊佐木が何も返してこないのを確認して、話を続けた。
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「最初、あなたが指示してるのかと思いました。でもそれにしては、ありえない杜撰な計画だなって。拉致失敗した上に写メ撮られて、流迦さんはやすやすと奪還されて」
『………なるほど』
「――協力者の杉野さんを、バラバラにして都内15箇所に埋めたことも含めてね。しかも、僕に全部の隠し場所をバラして」
『………!!
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