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くらいくらい電子の森に・・・
第十四章
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「お前らぁ!自分が何しようとしてたか分かってるのか!?」
紺野さんが、怒鳴っている。薄暗いようでいて意外と明るいボイラー室の床に、僕と流迦ちゃんは正座させられていた。…もう大学生なのに。何となく釈然としないけど、本気モードの紺野さんが怖くて顔を上げられない。

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「や、すんません…僕もどうしてああなったのか…」
さっき、拳骨で殴られた頭がずきずきする。…本当に、なんであんなに嗜虐的な感情がむらむら湧き上がってきたのか、さっぱり分からない。本来僕はいつも、そういうのを止めに回る立場なのに。
「…あんなの、殺したっていいのに。精神崩壊で済ますなんて穏当じゃない」
流迦ちゃんはキューブを取り上げられ、すっかりむくれて、そっぽを向いてしまっている。たまに手で頭をさする。彼女も拳骨を食らっていた。24歳なのに。それでも大人しく正座してるのが意外な感じだ。
「程度の問題じゃない!…お前ら、楽しんでいたぶってただろう」
「あいつらだって!」
「怯え切ってただろうが、最初から!そんなことも分からんのか!!」
紺野さんが、さっと手をあげる振りをすると、流迦ちゃんが子供のように縮こまる。…この二人の力関係は思ったほど流迦ちゃん優勢でもないみたいだ。
「いいか、何があっても人殺しを楽しむようなことはするな!そんなことをやってる限り、俺はお前らとは一緒に行動できないぞ!」
言いたい事をひとしきり怒鳴って、少し気分が落ち着いたのか、紺野さんは少し声のトーンを落として呟いた。
「なんにせよ、お前ら二人を一緒にしておくのは危険だな。流迦は催眠にかけて洗脳しようとするし、姶良は影響受けやすいし…」
催眠と聞いて、流迦ちゃんと廊下で鉢合わせた時の奇妙な眩暈を思い出した。
「催眠て…それじゃあ…!」
「かけられる方にも隙があるんだよ!現に俺は一度もかけられたことがない。それに一緒に怒られてやるのも男の優しさだろうが!」
「そんなむちゃくちゃな!」
「まーまー、そのくらいで。…珈琲、淹れたよ」
柚木が苦笑いを浮かべながら、紙コップに注いだ珈琲を5つ持ってきた。…わざと、むくれてみせる。僕はボイラー室に戻った瞬間、彼女からも鉄拳制裁を食らっていた。
先刻僕の携帯から送信されたエロ画像の女を、僕が担いで入ってきたのを見て、ものすごい誤解をしたらしい。ちょっとまて、違う、そんなはずないだろう!とマシンガンのように放った言い訳を全て一蹴され、八幡ごと吹っ飛ぶような右を食らった。しかも捨て台詞はこうだ。
『…最っっっ低!!!』
…僕はこの一言で死ねる。そう思った。
「…まだ怒ってるの」
言いたいことは山ほどあったけど、紺野さんたちの前で痴話喧嘩を披露して面白がらせるくらい、無益なことはない。僕は力なく首を振った。僕らの微妙な気ま
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