第29話 仲魔、仲間、友達。そして、家族
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の純吾君に、アリサちゃんが方眉を上げていかにも不満げに聞いた。アリサちゃんも最近のなのはちゃんと純吾君の様子にいらいらしてるみたいだから、
「…なのはと二人で、話したい」
「ふぇっ」
ちょっと迷って純吾君が言った理由に、なのはちゃんが驚いた声を出した。どうも事前に話し合ってた事じゃないみたい。アリサちゃんもそれが分かったみたいで、さっきよりもっと怒った顔をして純吾君に突っかかってく。
って、あ、アリサちゃん周り見てっ! 純吾君とき、キスできちゃいそうなくらい体乗り出しちゃってるって!
「なのはにだけって、私たちには話せない事だって言うの?」
「…よく、分からない。分からないから、なのはと話したい」
純吾君がそれに顔をそらして答えた。けどアリサちゃんは、じぃってそのまま純吾君の顔を睨みつける。
「……あの旅行に行った時に起こったことね」
それだけぽつりと言ってアリサちゃんが体を乗り出すのをやめた。そのとき見えた表情はさっきとは打って変わって、どこか納得したような、とても悲しそうな顔。
「はぁ〜っ。なのはと相談し終わったら絶対、話してくれるのね」
けどすぐにまたいつものアリサちゃんに戻って、キッと純吾君を睨みつける。すぐに小さく頷いた純吾君を見て、ふんって鼻を鳴らして私の方を向いて近づいてくる。
「じゃあもう用はないわっ! 行きましょすずかっ」
「えっ、あ、アリサちゃん――」
そう言って私の手を取って、ずんずん扉へ向かってくアリサちゃん。
結局、そのまま引っ張られていっちゃった。けど、扉を出る直前少しだけ見えたなのはちゃんが純吾君を慰めてる様子に、ちょっとだけもやもやした。
それからずんずん教室を出て、下駄箱まで行って、バス停に行くまで、アリサちゃんは何もしゃべってくれなかった。ずっと不機嫌そうに前だけ見てて、早足でバス停まで歩いて行ったの。途中で何か話しかけようかなって思ったんだけど、「話しかけないで!」って全身でアリサちゃんが言ってるみたいで、開いた口は閉じるしかなかったんです。
結局何も話せないままバスが来て、さっさと乗り込んでいくアリサちゃんについていって座りました。
アリサちゃんが話しかけてくれたのは、バスが出てしばらくしてからでした。
「ねぇ、すずか」
さっきまでの怒った様子とは全然違ったすごい弱々しい声に、車内に向けてた顔を慌てて戻しました。
「私達が…、うぅん、私がしてた事って結局、自己満足だったのかなぁ」
そしたらアリサちゃん、泣きそうな顔してそんな事を言ったんです。両手で膝の上に置いたカバンをギュって掴んで、とても悔しそうに。
「そりゃあ私は二人みたいに特別なものは何も持って
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