第7話
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「ありがと」
俺とサチの二人の決まり、「毎月のデートで食べる料理は、オムレツ」
何故オムレツかというと、サチが作ってくれた初めての料理だからだ。俺とサチは「リアル」で同じ高校、同じ部活仲間だった。そんなある日、部活のメンバーで食事会的な事をした時、サチが作ってくれたのがオムレツだった。当時は料理が下手で、見た目からして何の料理かわからなかったものだ…
「いただきます」
「どうぞ、召し上がれ」
渡されたオムレツを早速食べる。サチも俺に習うようにオムレツにスプーンをつけた
一口たべて俺は
「やっぱ、お前の料理はうめぇ」
と溢してしまう。それほどに旨いのだ
「おかわりならまだまだあるよー」
「おかわり!」
「はやッ!?」
もしかしたら俺は早食いスキル保持者かも…
とかなんとかやってるうちに俺もサチも食事が終わった
「ごちそうさま!」
「お粗末さまでした」
食器をストレージに収納してお茶を取り出す
お茶を啜りながら眼下に広がる「世界」を二人で眺める
「ねぇレイ…」
「んー?」
俺の顔をじっと見つめながら何か言いたそうな表情で話しかけてきたが
「やっぱなんでもなーい」
「なんだそりゃ」
と言ってまた眼下の「世界」に視線を戻した
―この瞬間がずっと続けばいいのに――
ふとそんな考えが頭をよぎった
「あッ!レイ、デザート食べる?」
「ん?あぁ、食べたいな」
サチの声で意識が引き戻される
「今日のデザートはエクレアだよ」
「お!いいねぇ」
サチからエクレアを受け取って口に頬張る。外側のチョコのビターな味わいが口いっぱいに広がった。しかもこの味、「リアル」となんら変わらない味だった
「すげぇ…よくチョコなんて作れたな」
「アスナと一緒に頑張ったんだ!どう?」
「すげーうまい!」
「よかったぁ。あ、でも今日だけしか作らないよ現実の味は」
俺はエクレアを頬張りながらも驚いた
「なんで!?」
サチは空を見ながら呟くように言った
「だって、この世界だって本物でしょ?」
確かにそうだ。肝心なことを忘れていた…
「現実の料理も良いけどさ、なんだかこの世界、今レイと一緒にいるこの世界が偽物だとは思いたくないし、そうなっても欲しくない。だから、現実の味は現実に帰ったら作ってあげる」
うれしい言葉だ。つまり今の言葉は「現実に帰っても一緒にいよう…」って事なんだから
「そうだな、だから早く終わらせて、始めたいな。俺達の世界」
サチは俺の肩にもたれて小さくうなずいた
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