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妖刀使いの滅殺者
第7話
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「サチー。そろそろ行くぞー」

「ちょっと待ってよー!」

玄関で腰に手を当てて部屋の奥に居るサチに声を掛ける
今日は、二人で第39層にある桜並木を見に行くのだ。まぁいわゆるデートだ

「よし、行こっ」

準備ができたようで、サチが出てきた。サチの服装は白いパーカーを羽織っていて、「大和撫子」の言葉がぴったりだった。俺も今日は非戦闘用の服装だ

「転移、≪ポットラサクス≫」

サチの手を握って転移先の町を指定する
視界が青く染まり、何も見えなくなる。のは一瞬ですぐに視力が回復して、周りの景色が見えるようになった

「やっぱり、何度来ても良いところだねぇ――」

隣で小さく呟いく声に俺は静かに頷いた
39層は層全体が桜で覆われていて、モンスターも俗に言うゆるキャラで平和なステージだ。今日は月に一度のお花見をしにここまで来た。アインクラッドでは、階層ごとに季節が定められているため、年中好きな季節が楽しめる
早速俺達は花見スポットに向かった。しばらくは道に沿って歩くが途中で桜の
見える場所から離れた道を歩いた。理由は簡単、穴場スポットだ
俺が穴場スポットを見つけられたのはある意味奇跡だった
まぁその話は別にいいだろう

「ついた、な」

狭い路地を抜け、丘を登ると眼下には桜と町が調和して一つの「世界」を作り出していた

「私、生きてて、よかった…」

「あぁ…」

つい感傷に浸ってしまう。まぁそれだけ素晴らしい景色なんだ
サチはレジャーシートと料理の入ったバスケットを取り出し準備を始めた

「レイ、準備出来たよ。はじめよっか」

サチの言う「はじめよっか」とは俺のスキル、「音楽スキル」の事を指している
俺は戦闘用のスキルだけでなく音楽スキルも上げていて、いまやMAXになっている

「っても歌うのは俺だけだろ…」

とか言いながらも嫌ではない。聞いてほしいから歌う、ただそれだけなんだから

「んじゃ、行くぞ」

「うん――」

ヴァイオリンを担ぎ、優しく、静かに、でもはっきりとした音色を奏でながら自作曲を奏でる

「―――♪―――!♪」

青く澄んだ空に舞う桜の花びらに混じって軽やかな歌声が天に舞い――

「――♪――――♪!」

その歌声に合わせてサチの体は揺れ――

「――――♪―――…」

時がこのまま止まったら良いのにと思える時間が過ぎていく――

長く短い曲が終わった
隣からは小さな拍手が聞こえる

「良い曲だよ、ほんとに…」

「お褒めの言葉ありがとう」

ヴァイオリンを片しながらレジャーシートの上に座った。そしてサチがバスケットの蓋を開ける。その途端に当たり一杯に甘い良い匂いが漂ってきた

「はい、どうぞ」
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