第二章 A's編
第六十話 『外伝8 四家族合同旅行(後編)』
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近くに干して乾かすことにして、それで後は体を温めるものはなにかないかと探すがなかった…。
それでどうしようかと思って、そこで私は自身のバリアジャケットのマントを思い出す。
それでマントだけ出してシホを包む。
「シホ、どう? 暖かい…?」
「…ええ。暖かい…。でも、頭の痛みのせいで体があまり言う事を聞いてくれないのは、痛いわね…」
「…ごめんなさい…」
「…もう、さっき言ったでしょう? 気にしないでって…」
「そうじゃないんだ…。こんな時にリニスに習ったことが活かせずシホをうまく助けることができない自身の力の無さに腹が立っているんだ…」
「…フェイト…誰だってやれる事は限られてくるわ。
その中でフェイトは今出せる最善の手を使って私を助けてくれている…。
今はそれだけで私はとても嬉しいわ…。だから、自分を責めないでね…?」
それで私はショックを受ける。
シホはこんな状況だっていうのに私に気遣いの言葉をかけてくれている。
やっぱりシホは私の立派な目標の人だ。
だからこんなところで弱気な発言をしている私を戒めないと…。
それで私は両手で頬を叩き、
「ごめん、シホ。弱気になっていた…でも、もう弱気な発言はしない!」
「…うん、よかった…。フェイト、あなたも下着だけじゃ寒いでしょ? 一緒にマントで温まりましょう…?」
「うん…」
それで私とシホは一緒にマントを包んでウェアが乾くのと一緒に吹雪が止むのを待つ。
そうしてしばらく二人でそうしていると、
「…シホの体、温まってきたね…」
「…ええ。フェイトのおかげね。きっと私だけだったらこううまくはいかなかった」
「私こそ。シホがいなかったらずっと錯乱していたと思う」
「それは…って、やめましょうか。これじゃいたちごっこになっちゃうわ…」
「ふふ、そうだね」
「…やっと、笑ってくれたわね。これで私ももう少し頑張れるわ…」
「あ…」
そういえばこんな時だっていうのに私は笑みを浮かべている。
心に余裕が出来てきたのかな…?
やっぱりシホと一緒だと心が落ち着いてくるなぁ…。
………………
……………
…………
それから時間は過ぎていって外から吹雪の音が聞こえなくなってきた。
「シホ…どうやら吹雪がやんだみたいだよ?」
「…そ、そうね。…はぁ、はぁ…」
「シホ…?」
シホの吐く息が荒い…? ッ!?
「シホ! 大丈夫…!? やっぱりどこか我慢していたの!」
「…大、丈夫よ。ちょっと腕の骨折が急に痛み出しただけだから…」
「それだけじゃないよね!」
シホの顔色が少し悪くなってきている!
早く何とかしないと…!
それで私は動こうとしたその時だった。
ゴトッ!
小屋の扉が急に開かれて、
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