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戦国御伽草子
参ノ巻
守るべきもの

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ぐらい顔を真っ赤にして押し黙った。



「なんでってここあたしにあてられた部屋だもの。居ても不思議じゃないでしょ」



「あーら高彬兄上さま。やはり瑠螺蔚さまのところへいらしたのですね」



 ふいに声がしたと思ったら、由良がぬっと出てきた。



「こんなこともあろうかと、防犯対策をしておいて良かったですわ」



「ゆ、由良この高彬は…」



 あたしが呼吸も絶え絶えに聞くと、由良はにこっとかわゆく笑った。



「面白いでございましょう?いっそこのまま、物見小屋へ売り飛ばしとうございますわ。懲りもせず再び瑠螺蔚さまのところへ現れるとは」



「僕だってこんな情けない姿、瑠螺蔚さんに見られたくなかったよ!」



 高彬が簀巻きで足を取られたのか転がりながら、投げやりに言った。



「あーもう由良あんたって最高よ。たしかにこれじゃ、なにかしようとしてもできるわけないわよね」



「だから瑠螺蔚さん、その件は誤解だから!」



「あはは、うん、わかってる。由良、流石にこのまま天地城に行かせるのは佐々の恥だし、ほどいてあげても良いかしら?充分楽しませて貰ったし」



「まぁ瑠螺蔚さまがそうおっしゃるのなら…」



「だってさ。良かったわね高彬。誰も解いてくれなかったの?」



「由良が!周到にも僕の縄を解かないように佐々家中に言い含めていたからね!みんな由良には甘いし。僕は良い笑いものだったよ」



「そりゃあんた、その格好をみて後ろ指指さない人間がどこにいるってのよ」



 あたしは高彬に手を貸して、縄を解いた。それにしても頑丈な縄ね!由良の本気度が(うかが)える。



「高彬由良を怒ってはだめよ。あたしのためにしてくれたことなんだし」



「…怒らないよ。その、瑠螺蔚さんは僕のこと怒ってないの?」



「怒るにしても、なんにも覚えてないし、まぁ、あんたの慌てようからしても何にもなかったんだと思うし。許す!でももう二度としないでよ!一瞬本気であんたの事疑っちゃったでしょ」



「僕だって心臓が止まるかと思ったよ…。そっか、でも瑠螺蔚さん、覚えてないのか…」



 高彬のなにか含ませた物言いにあたしは一瞬不安になった。



「え、なにかあったの?そもそもどうしてあたしあんたのとこにいたの?」



「それは、またあとで。それより、誰?」



 高彬は警戒の滲んだ声で部屋の隅にいる速穂児に顔を向けた。



 水を向けられた速穂児は無表情で、答えるようにすと高彬を
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