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お見舞い
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 優は苦笑しながら答える。

「はじめまして、雪乃さん」

「そんなにかしこまらなくても大丈夫だぞ。ユキは同姓だったらその辺気にしないと思うから」

 そう言って優はユキのベットの横にある椅子に座って、ユキの手を握る。直葉にも椅子を出してあげる。直葉は優の隣の椅子に座って呟くように言った。

「アスナさんもそうだったけどユキさんも本当に眠っていると思えない」

「ああ。俺もそう思えるよ……」

 苦笑しながらユキの顔を見た。ユキはそこまで肉や筋肉が落ちておらず、あの世界とまったく同じだった。

「……本当に眠ってないならどれだけうれしいことやら……」

 そしていつもどうり手を握ってたまにユキに話しかける。しかし、こんなことを何日も繰り返しているがまったく帰ってこない。あまりにも悲しい現実につい涙腺が緩みかけて涙が出そうになる。ほんと、泣き虫になったな、そう思いながら目を擦る。そして、優はユキの近くに居続けた。

「優君……私、今日はもう帰るね。ちょっと用事思い出したから」

「そうか、じゃあ俺も帰るとするか」

 そう言うと直葉は首を振って言った。

「ううん、優君はまだその人の傍にいてあげなよ」

「そうか……わかった」

「じゃあね、優君。それにユキさんも」

 そう言って直葉は病室を出て行った。出て行ったときの直葉の目には涙のようなものが見えた。
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