第68話 獅子の魂
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喫茶店アミーゴ。それはかつてショッカーとの戦いに命を燃やしたある改造人間が住処とし、安らぎの場とした場所。そして、その喫茶店には一人のマスターが居た。
「はぁ……本日は曇天なり、その上世界は暗雲が立ち込めて客はピタリと来ない始末……ったく、商売上がったりだぜ」
アミーゴのマスターである立花籐兵衛は一人店の中でグラスを磨きながら溜息を吐き愚痴を漏らしていた。正にそんな時であった。突如喫茶店の扉が開いた。
「いらっしゃい。こんな時に客とは珍しい……うん?」
「お久しぶりです。立花さん」
店に入ってきたのは二人の少女と一人の青年であった。しかもその内二人は立花に見覚えがある人物であった。
「おや、なのはちゃん、それに君はあの時の客だね?」
「貴方は、あの時のマスター」
光太郎はそのマスター、立花籐兵衛に見覚えがあった。それは南光太郎が始めて仮面ライダーBLACKに変身した後の事だ。行き場を失くし、喪失していた光太郎にとって、その気さくなマスターの笑顔と彼の出す温かなコーヒーは最高であった。
そのマスターとまさか此処でまた会う事になろうとは思っても居なかった。光太郎はその出会いを運命的な物の様にも思えた。
「そっちの子は初めて見る子だね。私は此処のマスターで立花籐兵衛と言うんだ。宜しくね」
「はじめまして。私は八神はやてと言います。宜しゅう」
「ほぅ、君は関西の子かね? わざわざ此処まで私の店まで来てくれるとは嬉しい話じゃないか」
どうやらはやての関西鈍りを聞いて彼女を大阪から来た子と思ったのだろう。だが、実際にははやては只単に大阪鈍りなだけであり彼女は列記とした海鳴市出身の子である。
「それより立花さん、また私達を此処に匿って貰えませんか?」
「何やらまた大変な事になってるようだな。ま、カウンターに座りなさい。詳しい話はコーヒーでも飲みながらゆっくりと聞くとしよう」
カウンターに座った三人に立花の煎れる自慢のコーヒーが置かれる。
あぁ、この香りだ。
南光太郎、そして高町なのははこのコーヒーの香りに懐かしさを感じた。他のコーヒーにはない、ましてインスタントでは出せない香りがそのカップに注がれたコーヒーから漂ってきた。
そして、その香りを始めて鼻にしたはやてもまた、何処か安心出来る香りでもあった。
「えぇ香りやなぁ。豆の煎り方から入れ方まで偉いこだわってるんですねぇ」
「そりゃそうさ。私ぁこれで飯を食ってるんだからね。何より客にコーヒーを煎れるのは私の楽しみでもあるんだよ」
立花らしい言い分でもあった。三人は早速立花の煎れてくれたコーヒーを口に入れる。口の中に染み渡るほろ苦いながらも深みのある味わいが三人にほんの僅かながらも安らぎを与えてくれた。
「
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