第66話 太陽の子、その名はRX
[1/13]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
意識が徐々に戻って来る。つんと体中に塩の香りと磯の香りが鼻についた。目覚めると其処は自然に出来た洞窟であった。塩の香りがするのはその洞窟から海が近いからであった。
「私……生きてるん?」
未だに不思議であった。守護騎士達が突如敵対し、更にその猛攻から自分を守ってくれた親友諸とも海の底へと沈められた。バリアジャケットを纏っていても海底では何の意味もない。てっきりあのまま溺死しているかと想ったが、どうやら助かったようだ。
だが、それは自分だけなのか? あの時身を挺して守ってくれた親友はどうなっているのか? まさか……
悪い予感が頭を過ぎった。すぐさま頭を振りその考えを跳ね除ける。弱気になっては駄目だ。それでは本当にそうなってしまう。自分自身にそう言い聞かせながら、はやてはおぼつかない足で立ち上がった。
魔力が覚醒したお陰かまだぎこちないが二本の足で立てるようになった。恐らく夜天の書の中に居る先代世紀王のお陰でもあろう。
「あ!」
立ち上がって数歩も歩かない場所。其処になのはは眠っていた。所々擦り切れたボロボロのバリアジャケットを纏い洞窟の岩肌を寝床に横になって眠っていたのだ。
そっと彼女の元に近づき手を添えてみる。微かに温もりと脈は感じられた。死んではいない。どうやら二人共助かったようだ。
安堵するはやて。だが、何時までも安心してはいられない。此処が何処なのか? そして、此処は果たして安全なのか? それらを知らなければならない。
「見た感じ只の洞窟みたいやけんど」
何だろうか。この洞窟からは何処か暖かみを感じる。本来ずぶ濡れでこんな潮風の当たる場所に寝ていたら寒さに震える筈だ。だが、此処ではそんな事を感じさせない。寧ろ温かい位だった。
「んぁ、もう目が覚めたのか〜」
何処か間延びした声が聞こえてきた。それは洞窟の奥の方からだった。最初に見えたのは影であった。微妙に長く伸びた姿からは余り全体像が想像出来ない。次に出て来たのはその姿形であった。その声の主は正しく全体的にクジラをモチーフとした怪人であった。
一瞬、はやては驚いた。まさかこんな所に怪人が。だが、そこで妙な引っ掛かりを覚えた。「もう目が覚めたのか?」
普通怪人であれば眠っている隙をついてトドメを刺す筈だ。だが、この怪人はそれをしなかった。そこら辺りでこの怪人には敵意がないのだと実感出来た。
「私等を助けてくれたんはあんたなん?」
試しにはやては問い掛けた。その問いにクジラの怪人は首を横に振った。
「おいらが来た頃にゃあんたら二人がこの洞窟近くまで来てたんだ〜。おいらはあんたらを冷えないようにこの洞窟で寝かせたんだ〜」
相変わらず間延びした声だが言ってる事は良く分かった。どうやら漂着した二人を此
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ