第一話〜幼き日々の英雄2人〜
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
――――――――――――――――――――――――――
宮城内を回っていた江たち一行。
江にとって、毎日というわけではないにしても仕事でよく来る宮城だ。熟知とはいかないまでも、簡単な構造はすでに頭の中に書き込まれている。
しかしそこはやはり13歳の子供。
同い年の娘と回れば、それだけで見慣れた廊下もいつもとは違った風に見えてしまう。雪蓮は終始騒ぎ、冥琳はそれをたしなめ、そして江はその光景を傍から笑って見ていた。
そして一通り回りきった江たちは最後に訓練場に来ていた。
「ここでいつも兵の調練、そして武将自身の鍛錬をやっている」
冥琳は簡潔に、しかし要点をきちんと詰め込んだ説明を江にする。
軍務から遠ざけられていた江は初めて見る訓練場に興味津々のようだ。
「さてと…。江」
それはそれは死神と形容するにはやや幼い、しかし込められた殺気はとんでもなく物騒な声が聞こえ、そちらのほうを振りむこうとする。
そして既に手遅れだという空気を感じ取った江はピタッと止まる。
「…そんな殺気を撒き散らしてどうしたのですか?雪蓮」
「母様から聞いたのよ。『お前と同じ年で自分と同等の強さを持つ者がいる』ってね」
「…それは興味深いですね」
江はしれっと受け流す。
「とぼけないで。気になって母様にお酒を飲ませ続けたら、あっさり言ってくれたわ。『3年前に朱家の養子になった』。それってあなたよね?江」
(…桃蓮様、お恨み申し上げます…)
どうやら全て知られているようだ。
江は深い溜息をつく。
「それで、手合わせをしろと?」
「ええ♪」
手合わせという言葉に雪蓮は満面の笑みでこたえる。
しかし殺気が抑えられずに漏れ出しているので、その笑みも大層不気味なものへと変貌している。
江は冥琳の方に目をやるが、冥琳は冥琳で、江と雪蓮の手合わせに関心を抱いている様子で止めてくれる気配は全くない。
「…いいでしょう」
「やった♪はい、得物はこれでいいわよね?」
「準備がよろしいことで…」
江の承諾を得るや否や、雪蓮はいつの間にか持っていた剣を江に手渡す。
そして訓練場の真ん中へと歩を進める。
「冥琳、開始を合図をよろしくね」
「いいだろう」
訓練場の真ん中で雪蓮と江が対峙する。
冥琳は手をかざすと、大きく息を吸い込みその手を振り下ろした。
「始め!」
開始の合図と共に攻撃を仕掛けたのは雪蓮。
大きく振
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ