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スーパーヒーロー戦記
第60話 影の月
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 守護騎士達の手によりクロノの恩師、ミサト・ハーヴェイが惨殺されてしまった。
 怒りを胸にアースラ隊は守護騎士打倒へと動き出し始める。だが、それこそがこの物語を更なる泥沼じみた戦いへと陥れる始まりの合図だとは、誰も気づかないのであった。




    ***




 アースラ隊からの追撃から逃れたヴォルケンリッター達は、一度人目のつかない夜の公園に集まっていた。皆殆ど連戦により疲弊しきっており、長時間の飛行は難しそうでもあった。
 更に、守護騎士達を悩ませる難点がもう一つあった。

「なぁ、シャマル! どうにもならねぇのかよ?」

 涙目になり訴えるヴィータ。そんな彼女の前でシャマルは苦い顔をしていた。四人に囲まれるようにベンチに寝かされているのはなのはであった。
 純白のバリアジャケットは鮮血により赤く汚れており、その胸部には大きく鋭い切断跡が刻まれていた。

「駄目、傷が深過ぎるわ。私の魔力じゃどうにも出来ない……」
「バッキャロウ! 湖の騎士がそんな簡単に諦めるんじゃねぇよ! お前が出来なきゃこいつは……こいつは……」

 崩れ落ち、ヴィータは言葉を失った。なのはがこんな深い傷を負う原因を作ったのは自分だったのだ。あの時、突如現れた管理局の魔導師に遅れをとらなければこんな結末にはならなかった筈だったからだ。

「シャマル、限界まで続けてくれ。せめて、こいつの傷口さえ塞げればそれでも構わない」
「出来るだけやってみるわ。急がないと此処も危ういでしょうし」

 頷き、シャマルは再び魔力による治療を行った。だが、彼女もまた疲弊しきっている。魔力も残り少ない状態でこれだけの重症を治せるかといわれれば正直無理である。
 だが、せめてこの痛々しい傷口だけでも塞ぎたい。でなければ彼女が苦しみ続ける事となってしまうからだ。

「……光太郎達は、無事に逃げ延びただろうか?」

 ふと、ザフィーラは夜の空を見上げながら呟いた。あの戦闘の後、それぞれがバラバラに逃げ延びていたのだ。だが、集合場所など決めていない。もしかしたら、もう残っているのは自分達だけなのかも知れない。
 言いようのない不安が騎士達に重く圧し掛かってきていた。そんな時、遂に最悪の事態が起きてしまった。

「御免……なさい……」

 シャマルの手から光が消え失せてしまった。そして、謝罪するシャマル。魔力が切れてしまったのだ。もうこれで治療は出来ない。なのはを救う手立ては、無くなってしまったのだ。

「そんな……嘘だろ? おい! まだ魔力残ってるんだろう? だったら続けてくれよ!」
「無理を言うなヴィータ。シャマルを殺す気なのか?」

 厳しくも、覇気のないシグナムの叱りを受ける。彼女も悔しかったのだ。騎士としての誇りを持
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