第60話 影の月
[10/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
炎を纏ったレヴァンティンを両手に持ち、シグナムが構える。
「や、止めろ……止めてくれぇぇ!」
「ハハハハハハッ! 最高のショーだ! さぁ殺せ! 貴様の騎士の誇りとやらが以下に無駄で無粋な物か、此処に居る俺とブラックサンに見せてみろ!」
笑いながらビルゲニアが命じる。その命を受け、シグナムの体がなのは目掛けてレヴァンティンを振り下ろす。
「止めるんや!」
その刹那であった。声がした。主の声だ! はやての声だ!
それを聞いた時、シグナムの手が止まった。刀身はなのはの首筋で止まった。後少し遅かったら彼女の体は斜め一文字に切り裂かれていた筈だ。
「あ、主……」
「止めるんや! そないな命令、聞いたらあかん!」
見れば、湖の近くに無造作に置かれていたはやてが目を覚ましたのか、シグナム達を呼び止める。
「ちっ、折角のショーが。何をしている! さっさと殺せ! トドメを刺せ!」
「そないな奴の命令を聞いたらあかん! 目を覚ますんや!」
ビルゲニアと八神はやて。双方の命令が飛び交う。
何故だ? 何故俺の命令を聞かないのだ?
ビルゲニアは疑念に襲われた。あんな小娘の命令を何故奴等は聞く? 奴等は本来ゴルゴムが作り上げた世紀王を守護する為の駒の筈。ならば、何故奴等はあの小娘の命令を聞くと言うのだろうか。
その疑念がやがて、激しい怒りに包まれて行った。
「おのれ、忌々しい小娘め! そんなに死にたければ貴様から死ねぃ!」
怒り狂ったビルゲニアの放った衝撃波がはやて目掛けて飛んできた。
「は、はやてちゃん!」
「主!」
助けに向おうとしたが間に合わない。はやて自身も足の不自由さが祟り動けない。咄嗟に目を覆いその場で蹲った。
だが、その直後、衝撃波は何か強大な物により掻き消されてしまった。
目を開いたはやての目の前にあったのは、あの時守護騎士達を召還した一冊の書物であった。
「や、闇の書?」
「馬鹿な、何故こんな所に貴様が居るのだ! 貴様はかつて創世王様の手により倒された筈?」
ビルゲニアがはやての前に浮かぶ一冊の書物に対して声を荒立てる。一体何を言っているのだろうか?
創世王? 倒された? 謎が深まるばかりだった。
「そうか、守護騎士達をけしかけたのは貴様だったのか? よくも俺を馬鹿にしてくれたな! 先代世紀王!」
「なっ、先代世紀王だと!?」
「そうよ、その書物の中には先代世紀王の魂が封印されている。そうだ! その中にもあったなぁ! その中にもある筈だ! 貴様が持っていたキングストーンが!」
ビルゲニアの狂気が今度は一冊の書物へと向けられる。しかし、彼の放った狂気の刃は書物が張った結界を破る事は出来なかった。その結界の中にはやてと
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ