第60話 影の月
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其処には一本の剣が浮かんでいた。赤い刀身に金色の柄を持つ禍々しい光を放つ剣が其処にあったのだ。
「これは……次期創世王候補だけが持つ事を許されるサタンサーベル! これを私に……」
恐る恐るビルゲニアはサタンサーベルに近づく。そして、その柄を握り締めたとき、恐ろしい程のパワーが全身を駆け巡る感覚を感じられた。それと同時に、ビルゲニアは声を挙げて笑い出した。
「そうか、そう言う事か。流石は創世王様。真の次期創世王が誰なのかお分かりになったようだ。となれば、最早シャドームーンなど不要!」
勇み足でビルゲニアが向った先。それは三神官が儀式を行っている祭壇であった。
分厚い扉を蹴破り、ビルゲニアが中に入ってくる。
「な、ビルゲニア! 何の真似だ!」
「今すぐ儀式を中止しろ! シャドームーンは最早不要となったのだ!」
「なんだと!」
状況が把握出来ていない三神官。そんな神官達の前でビルゲニアは刀身を振り、衝撃波を発生させた。発せられた衝撃波ははやての入っている球体を破壊し、中に居たはやてをビルゲニアは抱え上げる。
「この娘は借りて行く。憎きブラックサンと忌々しい騎士達を葬る餌としてなぁ。そして、奴等を葬り、キングストーンを得た後には、今度は貴様等を始末してくれる!」
「ぐっ……」
三神官達はすぐさま八神はやてを取り返そうとビルゲニアに近づく。だが、そのビルゲニアが持っていた赤い刀身を持つ剣を眼にした時、彼等の動きはピタリと止まってしまった。
「そ、その剣は……まさか!」
「その通り、我等が創世王様は次期創世王は誰が相応しいかお分かりになったようだ。最早シャドームーンなど不要! 次期創世王はこの私、剣聖ビルゲニアとなったのだ!」
勝利の喜びを歌うかの様に高らかに笑いながらビルゲニアは祭壇から姿を消してしまった。
後に残ったのは三神官と未だ目覚めないシャドームーンだけであった。
「何故だ! 何故創世王様はあのような奴を次期創世王などに選んだと言うのだ!」
「このままでは、我々はビルゲニアに殺されてしまう」
「何としても、シャドームーンを目覚めさせねば……だが、その為の生贄も奪われてしまった」
三神官達の胸中に絶望の色が浮かびだす。その時、三神官達に語り掛ける声が響いた。
それは言わずもかな創世王の言葉であった。
「何ですと! シャドームーンの復活に天と地と海の石を使えとおっしゃるのですか!」
「創世王様、それはあんまりで御座います!」
バラオムが泣きついた。無理もない。彼等にとって天、地、海の石は生命の源なのだ。それを使えと言う事は彼等に死ねと言っているのと同義語に他ならない。
だが、幾ら抗議しようとも創世王は聞く耳を持たず、その声は消え去ってしま
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