第60話 影の月
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指差す。それは未だに目を覚まさないなのはであった。
だが、驚きの光景はその直後であった。それは、なのはの胸部であった。
大きく開かれた傷口が突如一人でに塞がり始めたのだ。まるでビデオの逆再生でも掛けられたかの如くみるみる内に傷口が塞がって行く。そして、それは時間からしておよそ十数秒位の間には完全に傷口が塞がり、ついさっきまで開かれていた傷口が嘘の様になくなってしまったのだ。
「う……うぅ」
「見ろ! 意識が戻りだしたぞ」
驚きの光景が更に続いた。傷口が一人でに塞がり、更にはなのはの意識が戻りだしたのだ。
ゆっくりと目蓋を開き、起き上がる。
「あれ? 傷がなくなってる。有難う、シャマルさん」
「え? えと……あの……」
返答に困った。事実その傷を治したのはシャマルではなく、なのは自身の異常なまでの治癒能力でもあったからだ。
「ま、まぁ何にしても、ちびっ子が無事で何よりだなぁ」
「そ、そうだな……」
ヴィータやシグナム、それにザフィーラも未だに驚いたままであった。守護騎士である彼等でさえ、あそこまで短時間に回復など出来る筈がないのだから。
「そう言えば、光太郎さんや甲児さん達はどうしたんですか?」
「兜とデューク達は周囲を警戒してもらっている。周囲に管理局が居ないとも限らないからな」
「そうですか……」
やはりあれは夢ではなかった。と言う事になる。あの時の……かつての仲間であったアースラ隊との対立。そして、親友であったフェイトに斬られた時の痛み。
それらが全て現実の物であると痛々しくなのはの胸に刻まれている。
「何はともあれ、今は早く帰るとしよう。これ以上家を空けていては主が心配する」
「そうだな。早く帰ってはやての飯を食おうぜ」
今は悩んでいても仕方ない。とにかく前に進もう。
そう言い聞かせるかの様に一同は一路八神家へと戻った。だが、戻ってきた一同を出迎えたのは静寂であった。
「おかしい、人の気配がまるでしない。一体何故?」
「ちょっと待って……そ、そんな!」
シャマルが突如として青ざめる。その変わり様に一同の中で嫌な不安が過ぎった。
「どうしたんだ? シャマル」
「私達がアースラ隊と戦闘している間に……はやてちゃんが誘拐されたわ!」
「何だと! だが、この家の周囲には結界を張り巡らせていた筈だ!」
「何か強力な力で強引に破られた跡があるの。でも、こんな事が出来るのと言ったら……」
「奴等しかいない」
四人の騎士達の中で答えは出ていた。張り巡らした結界を破り、八神はやてを誘拐出来るほどの者と言えば奴等しか居ない。
そんな時、一人周囲の警戒を終えて戻ってきた光太郎と合流する。一同は、はやてが何者かに誘拐された事を光太郎に
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