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スーパーヒーロー戦記
第60話 影の月
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その書物は居た。

「あ、あの……貴方は、本当に先代の世紀王……さんなんですか?」
【そうです。私はかつて、次期創世王の座を巡り争う運命を強いられた者です】

 書物から声が聞こえてきた。それは女性の声だった。何処か優しく、そして悲しげな女性の声が聞こえてきた。

【私は、創世王の力を使い、平和な世を築きたかったのです。ですが、もう一人の世紀王の罠に掛かり、私は命を奪われました】
「そんな、酷いわ。何でそないな酷い事をするんや!」

 悲しみと怒りがはやての胸中にあふれ出す。彼女とて、元は平和に暮らしたかったのだ。だが、その彼女の人生をゴルゴムが歪めてしまったのだ。そして、その命さえも。

【私は、咄嗟にキングストーンを私の魂ごとこの書物に封印しました。その為、今の創世王は不完全な状態となってしまったのです。私は、ゴルゴムを倒す為、守護騎士達を作り、ゴルゴムと戦い続けてきました】

 書物から見せられる歴史、それは長い戦いの歴史であった。書物が生み出した四人の騎士達は書物の持ち主と共に長きに渡りゴルゴムとの戦いを行ってきた。
 だが、どの戦いも、途中で主が書物の力に負けてその命を落とす事で終わっていた。
 どれも悲しい戦いの歴史だったのだ。

「辛かったんですね。ずっとこんな悲しい戦いを続けて来たなんて」
【いえ、これも私が背負った業なのです。でも、その業に貴方を巻き込んでしまった事を私は悔いています】
「そんな事ないです! 私はこうして家族を得られましたし、今もこうして貴方に助けられましたから」

 そう言い、はやてはその書物を両手で掴む。その顔にはもう今までの弱弱しい少女の顔は何処にもなかった。
 あったのは強い決意を胸に秘めた顔であった。

「先代世紀王さん、お願いです。私にその力を……世紀王の力を使わせて下さい!」
【私と共に戦ってくれるのですか? その先に待つのは決して平坦な道ではないのですよ】
「構いません。私も、ヴィータやシグナムやシャマルやザフィーラ。それに光太郎兄ちゃんやなのはちゃん達と一緒に戦いたいんです。もう、守られるだけなのは嫌なんです! だから……だから私にも力を!」
【分かりました。ならば、私の力と、世紀王の証であるキングストーンを受け取って下さい】

 そう言い、闇の書から眩い光がはやての手に乗せられた。その光はやがて形を変え、小さなペンダントへと変えた。

「これが……キングストーン……なんやろ? 凄く温かいわぁ」
【創造して下さい。貴方の戦う姿を。戦う戦士の甲冑を】
「うん!」

 強く頷き、はやてはペンダントを握り締めた。すると、ペンダントから眩い光が発せられ、はやての姿を瞬く間に変えていく。
 白と黒の二色の騎士甲冑に背中には黒い羽を有し、ペンダン
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