第二幕その五
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は」
「うむ」
タッデオも頷いた。ここでそのイザベッラが部屋にやって来た。
「イザベッラ」
「二人共ここにいたのね」
イザベッラはその魅力的な笑みを二人に浮かべて言う。
「私達と一緒にここを去りたいっていう人達はもう集まったわよ」
「もうか」
「ええ、もうね」
「流石だね」
「だって私はイタリア人よ」
イザベッラは胸を張ってこう述べた。
「災難にかえって奮い立ってイタリアへの愛情と義務を忘れない、それがイタリア人じゃない」
「確かにね」
この場合は彼等の故郷ヴェネツィアのことを指す。イタリア人はどちらかというと祖国愛より故郷愛の方が強い人達なのである。
「あらゆる困難に打ち勝って、祖国と義務を忘れずに。勇気と献身を持って」
こういうふうに言葉通りには中々いかないものであるが。少なくともイザベッラは気概は持っていた。
「常に立ち向かわないと。イタリア、そしてヴェネツィアの栄光の為にね」
「その為に皆で」
「そうよ、もう準備はできているわ」
「後はパッパタチで」
「そう、パッパタチで」
三人は顔を見合わせて言い合う。
「あの旦那様を御后様にくっつけて」
「それは楽にできるわね」
「そうだね、けれどその後は」
「それももう心配いらないわ」
イザベッラは二人を安心させるように言う。
「私が全部手配しておいたから」
「じゃあ後は」
「そうよ、話を進めるだけ」
「なら話は早いな」
タッデオがにんまりと笑う。
「ええ、イタリアはもうすぐよ」
「長靴が僕等を待っている」
「さあ、帰ったら美味い酒にマッケローニじゃ」
この時代のマカロニは今で言うフェットチーネに近い。スパゲティが出来るのはもっと後である。なおこの時代のパスタはナポリ特産でかなりの高級品であった。
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