第二十二話 雪男の一家その六
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「回して使わないとね」
「よくないわよね」
「そうそう。ここの食堂の海鮮炒飯だってシーフード同じだしね」
「パエリアとね」
「そういうのが一緒だから」
それでだというのだ。
「ここの食堂もしっかりしてるわね」
「しかも美味しいしね」
「そうそう、味もいいし」
「おばちゃんがしっかりしてるのね」
調理担当のその人がだというのだ。尚何人もいる。
「味付けは」
「そうね。安いし」
「安いことは第一よ」
愛実は強い声で言い切った。
「美味しさとね」
「お店の第一って幾つもあるからね」
「清潔さもね」
これもあった。
「どれもちゃんとしないと」
「お店が潰れるのよね」
「そうそう、そう思うとこの食堂っていいわよね」
そうした様々な面からも及第だというのだ。
「だから人気あるのよね」
「他の学科からも来てるわよ」
聖花は笑ってこのことも言った。
「普通科とか工業科からもね」
「そうみたいね。まあ私達もね」
商業科の生徒も他の学科の食堂に行く、八条学園はこうしたことでは非常に緩やかなのでお互いにそうしているのだ。
だから何の問題もなくそれでだったのだ。
「普通に他の学科の食堂行くからね」
「売店にもね」
「だから一緒ね」
「そうそう。まあとにかくね」
「お昼はパエリアね」
「それ食べよう。それに」
聖花はここで話題を変えた、その話題はというと。
「後今度冷凍庫行くけれど」
「雪女さんね」
「その後は動物園に行くわよね」
行く順番はもう決まっていた。
「それで冷凍庫だけれど」
「あそこがどうかしたの?」
「寒いからね」
聖花が今言うのはこのことだった。食堂の入り口で料理の券の自動販売機の前に来て自分の隣にいる愛実に話す。
お金を入れてボタンを押す、愛実もそうした。
そのうえでパエリアの券をそれぞれ買ってからまた話した。
「そこは気をつけないとね」
「ううん、今普段は暑いけれど」
「そこで急に寒い場所に入るからね」
「身体を壊さない様に気をつけてってことね」
「そう、それは気をつけよう」
「雪女さんね。やっぱり暑いのは苦手よね」
愛実は本音では冷凍庫には長い間いたくはなかった。それでこう言ったのだ。
食堂のおばちゃんの一人にそれぞれのパエリアの券を見せる、そのうえで暫く並んでパエリア、大きな白い皿の上に並々と入れられたそれを見ながら二人で話した。
「出来ればね」
「冷凍庫の外でお話したいのね」
「そうしたいけれどどうかしら」
「難しいわね。だって雪女さんよ」
その名前でもう十分だった。
「雪は冬だからね」
「それでよね」
「鹿児島とか沖縄にはいないでしょ」
「聞いたことがないわね」
「雪国でしかも冬よ」
雪女
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