TURN60 義兄と義妹その八
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「聞かないで欲しいある」
「そういうことか」
「実は僕達も気付いたらそれぞれいたある」
「八国共か」
「私達もある」
中国妹もここで言う。
「気付いたらいたある」
「その頃には日本のあの犬神はいたのだな」
「僕達よりも前にある」
「世界にいたあるよ」
「ふむ。あの神が一番古いのだな」
皇帝はそのゆったりとした豪奢な服の袖の下で腕を組みつつ言った。
「全てはあの神が知っているか」
「多分ある」
「一度話して詳しく聞きたいが」
「それは絶対に教えてくれないある」
中国が皇帝に話す。
「僕達八国も何度も聞こうとしたあるが」
「この世界のはじまりをだな」
「そうある。けれどある」
「教えてはくれぬか」
「首を横に振って頑なある」
それで言わないというのだ。
「全く駄目ある」
「そうか。なら仕方がないな」
「このことは諦めるしかないある」
「わかった。だがどうやら」
皇帝は中国の柴神についての話からこのことを察した。
「あの神は間違いなくこの世界のはじまりについて知っているな」
「それは間違いないある」
「そうだな」
中帝国では講和を前提とした動きをはじめながら柴神についても話が為されていた。太平洋では講和とその次の段階が見られていた。
太平洋のその流れを見てエイリスではセーラが悩ましい顔でこうイギリス達に漏らしていた。
「若しこのまま太平洋経済圏ができれば」
「ええ、エイリスはもうね」
「完全に立つ瀬がなくなるな」
そのセーラにエルザとイギリスが話す。
「もう残るのはアフリカだけよ」
「それじゃあもうな」
「エイリスの世界帝国としての立場は」
セーラは己の執務用の机で項垂れている。
「なくなるというのですか」
「しかもです」
イギリス妹は参謀的にセーラに話した。
「我が国はこのままドクツは何とかなりそうですが」
「その次はですね」
「ソビエトです」
イギリス妹は同盟関係にある筈のこの国の名前を剣呑な感じで出した。
「あの国は東欧を完全に掌握するつもりです」
「そのうえで、ですね」
「はい、我が国に対するつもりです」
「元からそうなるとはわかっていました」
セーラもソビエト、カテーリンの考えは読んでいた。
「彼等はあくまで共有主義による世界統一を考えていますから」
「だからこそですね」
「資産主義、そして何よりも君主制である我が国は」
「敵以外の何者でもありませんね」
「ソビエトは強敵です」
セーラはこのこともよく認識している。
「相手にするには今のエイリスでは」
「困難ですね」
「アフリカの植民地からの力だけが便りです」
インド洋以東の植民地を全て失ったエイリスにとってはまさにそうだった。アフリカの殖民地こそが最後
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