第二十七話
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ルや椅子を給仕に押しやりグレイドの援護を行う、仲間の投げつけた椅子が給仕を掠め、体勢を立て直したグレイドは椅子を掴むと盾と武器代わりにして身構えた。
「いったい誰の差し金で俺達を襲った!」
おそらく答えは無いだろうが問わずにはいられない。
「大変です殿下!外にも敵が!」
納屋に向かった仲間がそう叫び、なんとか持ちだせた武器を床に放りだし、残りの俺の仲間はそれを拾い上げこの建物の出入り口で身構えた。
グレイドと二人がかりで給仕を無力化すると、俺もグレイドも入り口で防戦一方の仲間の援護に向かう。
俺は長剣を背負うと床に落ちている槍を拾いあげ建物の窓から外に飛び出した。
十騎ばかりであろうか。
固まった状態のそこへ俺が突進すると馬は暴れたり逃げ出したりと、思った通りの挙動を行った。
その中で槍を振りまわし襲撃者を混乱させた。
落馬した者を見捨てて、その一団の頭目が逃げ出すと他の者もそれに倣った。
入り口での戦いも終わったようで駆けよってきたグレイドが追うそぶりを見せたので制し、捕らえた者の尋問と毒を盛られた者の手当てを優先するよう指示を出した。
「追っても間に合わないし、待ち伏せされての逆撃こそが狙いかもしれません。それよりも皆の手当てと捕らえた者から口を割らせましょう」
入り口での戦いで敵の兵は全て討ったようだが、落馬した者は縛り上げてある。
建物の中へ連れて行き尋問を始める前にまずは苦しんでいる仲間たちの処置を急いだ。
水を飲ませて吐かせるくらいしかやりようもないが…
騒ぎを聞いて駆け付けた別の宿や商店の人たちの助けも借りたが多くの者が命を落とした。
そして、納屋の中からこの宿営所の本当の経営者と従業員の遺体が発見された。
偽の給仕はいつの間にか舌を噛み切って死んでおり、老婆は気絶したままだ。
そこで俺たちは落馬した男を尋問することにした。
なだめ、すかし、時にはこづいたり殴ったり、拷問をちらつかせるとようやく重い口を開いた。
「い…言うよ、雇い主は…レイ…ド、うぐっ、ごはぁ」
老婆はいつのまにか目を覚ましたのかあるいは気絶した振りをしていたのか……。
関節を外したのであろうか、縛めを解くと禍々しい呪文書を取り出し、この男を魔法で殺した。
そうしてから奇怪な笑い声を上げ己の胸を短刀で突き、すぐに息絶えた。
「これは…ロプト教の…」
グレイドは老婆の手に握られた禍々しい呪文書を足でつつき、俺はそれに頷いた。
翌日、俺はマンスター王と関係機関への書状をしたため、グレイドに届けるよう指示を出すと犠牲者の埋葬の許可をこの宿場町の管理者から得て街外れに埋葬した。
加害者のほうはマンスターの役人からの調べがあるだろうから、被害に遭った宿営所の納屋に並べた。
その日の内にグレイ
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