最終話『君とともに』
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ジしていた気持ちの悪いハントじゃない。
どうやら息子は己に関することだけだと思春期の女子以上にモジモジとするくせにナミの人生が関わりだすと急に真剣になれるらしい。
ベルメールは嘆息を吐く。
「……本当にナミのことずっと大切に思ってたんだね」
「……当たり前だろ?」
ぶっきらぼうに答えるハントの頭をベルメールがそっと撫でる。
「さすが、私の自慢の息子だ」
「はは、なんか懐かしいな」
「私もさ」
そっと二人が顔を合わせて笑う。
背後から聞こえる宴の笑い声が胸に響き、その熱気が伝わってくる。
「今夜は飲み明かすとしようか」
「付き合うよ」
母と息子が立ち上がろうとして――
「――やっと見つけたぞハント!」
肉を両手一杯に抱えて、口をもぐもぐとさせている麦わら帽子の男がそこに立っていた。
「ルフィ? どうした、ナミがまだ素直に首を縦に振らないとかか?」
――ナミは素直じゃないところ、昔っからあるからな。
やれやれと息をつくハントに、ルフィは言う。
「海賊にならねぇか!?」
「……は?」
いきなりのその申し出に、ハントは目を丸くして暫しの間沈黙を停止させたのだった。
さて、これは後日談。
ネズミ大佐の申請によってルフィに3千万ベリーの懸賞金がかけられた。
アーロンを実際にしとめたのはハントだが、ハントの名前はあがっていない。それもある意味では仕方のないことだろう。なにせハントは一切海軍に手をあげておらず、実質あのときはまだ海賊ではなかったのだから。
ネズミ大佐の私怨により、アーロンをしとめたことになったルフィだが本人はそんな小さいことは気にしない。なにせルフィは海賊王になる男だ。むしろ喜ぶぐらいだろう。
別れを済ませて出航した麦わらの一味。
そこに、彼らはいた。
穏やかな空にいくつかの雲が浮かんでいる。時折思い出したかのように空を流れるかもめが目に映っては視界の端へと消えていく。太陽が実にまぶしく、暖かい。
ウソップは新兵器開発。
サンジは昼食作り。
ゾロは鍛錬。
ルフィは昼寝。
珍しく静かな麦わらの一味の船で、必然的に残りの二人が肩をそろえていた。
「なぁ、ナミ」
「うん?」
「昔の約束、覚えてるか?」
「もちろん」
返ってきた肯定にハントは少しだけほっとしたような安堵の表情を浮かべて、また尋ねる。
「形は少し変わったけど、それでもいいか?」
「うん」
「一緒に海を回ろう……俺はもうずっとお前の側にいるから」
「うん!」
ナミの笑顔がハントに弾けた。
ナミと一緒にいれるのは嬉しいし、ルフィたちといるのも楽しい。この仲間たちとともに
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