暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
マイの正体
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うな。
「そう。あの時、レンの脳細胞は確実に壊死していっていたんだよ。だから───」
そこでマイは言葉を切り、掴んでいたレンのシャツを放してととと、とレンから離れた。そして、レンに対して深々と頭を下げた。
「だから……ごめんなさい」
「い……いいよいいよ!あのままだったら、僕殺されてたからさ。だからお相子、ね?」
「で、でも───!」
それでも、とマイは叫ぶ。
痛々しい顔をして。
泣き出しそうな顔をして。
張り裂けそうな顔をして。
それでも、と叫ぶ。
「マイは、マイはレンの寿命を縮めたんだよ!そんなの、許される事じゃないよ!!」
「それでも、だよ」
そう言ってレンはマイの頭を撫でる。優しく、これ以上ないくらい優しく。
うつむいたマイを見ながら、レンの頭に新たな疑問が湧き上がった。
「あれ?そのBBシステムが思考を加速するってゆーのは解かったけど、それでどうやってカーディナルに抗えるの?その現状を観察するくらいしか使えないんじゃない?」
レンのその問いに、マイはぐすぐす言いながらも答えてくれた。
「………思考を加速するって事は、どう言うことかレンには判る?」
「どう言うことか?……んー、それだけなんじゃあないの?」
ふるふるとマイは首を振る。
「違うんだよ。思考の加速って言うのは、そんな生易しいものじゃあないの。例えば、1000秒で答えられる問題があったとするかも。その問題をBBシステムによって1000倍に加速された脳でその問題を解こうとすればどうなると思う」
「………一秒」
そう答えながら、レンにはやっと全てが解かったような気がした。
あの宇宙人がSAOプレイヤーに託した、言わば《勇者の剣》の全貌が。
「そうか。加速するって事は、計算能力がとんでもなく上昇するって事をマイちゃんは言いたいんだね。そして、その加速されて凄いことになってる計算能力で何かをする」
パソコンなどの計算機器は、基本的に足し算しかできないと言うことを聞いた事はあるだろうか。
あれらの計算機器は、引き算も掛け算も割り算も全て足し算で済ませている、と言う話だ。
たとえば、1+1+1+1+1という問題があったとしよう。パソコンや電卓と言った計算機器は、バカ正直に1+1+1+1+1をするのだが、人間の脳は当然ながらそんな面倒くさいことはしない。単刀直入に1×5をする。その点でも、加速した人間の脳はきっと次世代のスーパーコンピューターをも楽々と追い越すだろう。
「レンは鋭すぎかも。簡単に言うと、周囲の空間の支配を行うの」
「く、空間の支配ぃぃ?」
「そう。この世界は全てデジタルコードで、要するにただのアルファベットと数字
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