第二十一話「男の過去なぞ根掘り葉掘り聞くものではない」
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――家族を救って下さってありがとうございます。
――出会って下さって、ありがとうございます。
「気にするな。ただ偶然通り掛かっただけに過ぎない。ただの気紛れだ」
そう言うと彼はそっぽを向いた。
ふふっ、照れているのですね。こういった所は私のよく知るレイくんと同じですわね。
滅多に照れることがないレイくんも照れるとそっぽを向く。そういった仕草がまた母性本能を擽られるのだけど。
「――? どうした?」
席を変えて彼の隣に座る。きょとんとした目がなんだか可笑しかった。
――私はレイ(彼)くんが好きだ。
それは弟に対する家族愛だけれど、最近は男性としても意識をし始めている。けれど、相手は血が繋がっていないとはいえ弟。しかも本来は中学生の十五歳。異性として好きになっていいのだろうかと悩んだこともあった。
子供っぽい言動が目立つけれど、とても友達想いなのを私は知っている。
レイ君の笑顔を見ると胸が温かくなる。時々、どこか遠くを眺めるような目を見ると胸がキュッと締め付けられる。
そんなレイくんが、初恋のあの彼と同一人物なのだと知った。
嬉しかった。泣きたくなるほど嬉しかった。
もう自分に嘘は付けない。この思いが向かうまま、自分の気持ちに正直でいよう。
「ねえ、レイくん。レイくんは私が好き?」
「好きだが? ……この話、前にもした気がするな」
好きだと言ってくれた、その言葉が私の胸を高鳴らせる。
以前のレイくんは私と小猫ちゃんを姉として、友人として好きだと言っていた。この“好き”という言葉も異性愛ではなく家族愛からくるもの。
「……構いませんわ。必ず振り向かせてみせます」
「――?」
首を傾げる彼の腕を抱え密着する。この胸の鼓動が伝わるように。
レイくんに気がある女の子は見たところ小猫ちゃんだけ。リアスも最近妖しいから注意したほうがいいでしょうね。アーシアちゃんはイッセーくんに首ったけだから、こちらはノーマークでも大丈夫でしょう。
「負けませんわ」
――私は彼が好きなのだから。
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