第二十一話「男の過去なぞ根掘り葉掘り聞くものではない」
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あ、その内の一万は寝ていたがな……。っと、そんなことより話を戻すぞ。当時の俺と今の俺とでは見ての通り性格に落差がある。何が切っ掛けでそうなったかは忘れたがな。君たちも知っての通り、今の俺は少々、精神的にも幼稚なところが見受けられるだろう。今回の婚約騒動のようになにか重大な出来事があった際に茶々を入れ兼ねない。そう思った俺はこれを用意した」
そう言って懐から取り出したのは一つの小瓶。中には液体が入っていた。
「これは『反転浸酒』という。これを飲めば一万年前の昔の俺――まあ今の俺だな――の精神と入れ替わることが出来る」
「精神ですか、人格ではなくて?」
今の彼を見ていると人格が入れ替わったかのように見えるのですが。
「そう、あくまで精神だ。今の俺の精神的に幼稚な部位は性格が反映している。面白いことを第一に考えているからな、頭では判ってはいるが、あえて空気を読まずどうしてもかき回したくなるんだ。記憶や思考回路といった面は今の俺も昔の俺も変わらない。共有しているといった方がイメージがつくかな?」
なるほど、それで……。それにしても今と昔ではこんなにも違うのですね。
どこか考え深い気持ちで彼を見ていると、視線が合った。
「ちなみに、この『反転浸酒』を再び造った切っ掛けは姉さんが原因だ」
「私、ですか?」
「そうだ。姉さんに対して並みならぬ好意を寄せているからな。ゲームで姉さんに喜んでほしくて造ったんだ」
「そ、そうですか」
顔が赤くなるのが自分でも分かる。今の彼にはっきりと好意を寄せていると言われるだなんて。それに『姉さん』と呼ばれると、す、少し照れますわね。
リアスが隣でニヤついた笑みを向けてきたのが頭にチラついた。
「で、最後にサーゼクスとの関係だったな。友人だ。以上」
一言で終わらせた彼はもう話すことは無いとばかりに目を瞑って紅茶を飲み始めた。
「って、友人の一言じゃわからないでしょう! もっと詳しく説明しなさい!」
「ん? 詳しくと言っても友人以上に適切な言葉が見当たらないが」
「そうではなくて、いつ知り合ったとか、どこで知り合ったとか、どうして友人になったとか、色々あるでしょ!」
「ああ、そういうことか。いつ知り合ったかというのは……いつだったかな? かなり昔だったとだけ記憶している。どこで知り合ったかというのは、冥界でだな。どうやって友人になったかというのは話していたら意気投合して気が付いたら友の関係に」
淡々と述べる。確かに性格は違うのでしょうが、彼は間違いなく彼ですわね。リアスも同じ印象を受けたのか額に手を当てていた。
「貴方がレ
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