第二幕その四
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
すよ。気をつけなさい」
「はい」
見ればその役人達は宿屋の方にやって来て馬を止めた。
「待て」
酔って騒いでいるワルラアームとミサイールを呼び止めた。
「御前等は何者だ?物乞いか?」
馬の上から彼等を見下ろして問う。
「申してみよ」
「旅の僧でございます」
彼等はそれに対してわざと憐れっぽく、そして慎み深く答えた。
「村々を回って寄付を集めております」
「そうか。ではそちらの者は」
「ここで知り合った若い僧侶です」
ワルアラームが答えた。
「若い僧侶か。見たところその方等と大して変わらんな」
「同業者ですから。苦労も同じなのです」
「服はボロボロ、けれど心は清らかです」
「ふん」
役人はミサイールのわざとらしい言葉は半分以上聞いてはいなかった。まずは馬を下りた。
「修道僧には用はない」
彼は呟いた。
「どうせ何も持ってはおらん。まあ一応聞いてみるか」
袖の下を欲していたのだ。見るからに何も持っていなさそうであるがそれでも、と期待したのである。
「ところで坊さん方」
「はい」
二人が応えた。
「どうかね。寄付は集まりますかな」
「いやいや、苦しいものです」
ワルアラームがそれに答えた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ