VIPが居た理由とフラグ回収
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によってできなくなるのだが。
「第十偵察隊司令部から緊急伝!
現在三隻の駆逐艦が定時報告を行っておらず、敵対勢力と交戦報告後通信が途絶え、撃破された可能性あり!
敵対勢力の存在を前提に戦闘態勢に移行し、偵察隊は以下のポイントに集合せよとの事です!」
送られた行方不明となった駆逐艦の哨戒ポイントはヤンの船の二隻隣だった。
それで報告が来ていないという事は隣すら撃破された可能性が高い。
「第一種戦闘態勢発動!
敵勢力は、駆逐艦単独で対処できるレベルではないと判断!
反転し、集合ポイントに向かう!」
ヤンの戦闘態勢発動宣言で艦内にアラームと赤色灯が点灯して訓練どうりの戦闘態勢に移行してゆく。
ただ違うのがこれが実戦という所のみ。
「艦長。
艦を反転し、集結ポイントの座標を記入しました。
集結ポイントへの到着はおよそ一週間後、両隣の哨戒駆逐艦との合流は二日後を予定しています」
アルテナ航海長の確認を耳にしながら、ヤンはアッテンボロー戦術長に声をかける。
「戦術長。
偵察衛星を元の哨戒線にばらまいていってくれ。
おそらく、そう遠くないうちにこいつに食いつくだろう。
敵の詳細を知りたい」
「了解」
アッテンボロー戦術長がコンソールを動かし、次々と偵察衛星を射出してゆく。
その光景をモニターで見ながら、パトリチェフ副長がヤンに声をかけてきた。
「帝国軍の大規模侵攻でしょうか?」
「同盟の哨戒網はそこまでザルじゃないよ。
大規模侵攻ならば、先にばらまかれている偵察衛星などが反応しているさ。
おそらく、哨戒網をすり抜ける程度の戦力、向こうも偵察隊程度だと思うが……」
敵を過大評価してはいけないが、過小評価してもいけない。
与えられた情報の中で最悪の選択を考えて、ヤンは自分に与えられた時間がそう多くはない事を思い知る。
「三隻が連絡なしに撃破されたとしたら、噂の高速戦艦がいる可能性が高いだろうね。
で、そんな船を単独で航行させないだろうから十隻程度の護衛はいると考えるべきだろう」
「あ、フラグ回収来た」
なんて呟いた准尉をパトリチェフ副長が睨んで黙らせる。
もっとも、各員のモニターにヤンが考えた対高速戦艦対策を即座に送りつけるあたり、彼女も無駄口を叩いている訳ではない。
同時に、准尉がアッテンボロー戦術長に頼んで作らせたフェザーン船団防衛計画も一緒に添付されている。
この船が沈めば、その座標の先にはフェザーン船団がいるはすだからだ。
ヤンは添付されたフェザーン船団防衛計画を確認したうえで許可を出す。
「戦術長。
この作戦計画と対高速戦艦対策案を組み合わせた作戦を検討しておいてくれ」
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