VIPが居た理由とフラグ回収
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ある。
だが、同盟軍統合作戦本部から送られてきた情報は、第十偵察隊司令部が無視したワレンコフ代将相当官に食いついたものだった。
B級機密情報ゆえに、ヤンにだけ見せられたそれは、フェザーン内部で発生しているらしい権力闘争の可能性を示唆していたものだったのである。
ここ三十年ぐらいでフェザーンは同盟や帝国と対等なぐらいに力を蓄えていたが、それに伴う矛盾が噴出しているらしい。
同盟から借金のかたとして譲渡されたいくつかの辺境星系の経済力がつく事で、フェザーン本星とそれを管理するガンダルヴァ星域の惑星ウルヴァシーの間で主導権争いが勃発しているみたいなのだ。
そのきっかけとなったのは、現自治領主が主導して挫折した惑星ウルヴァシーへの首都移転計画で、交通の要衝たるフェザーンから首都を移すとは何事かと政府内部からも猛反対にあって、頓挫したのはニュースにも流れていた。
だが、同盟軍統合作戦本部から送られてきた情報はそれよりも深くこの問題に切り込んでおり、財政危機が続く帝国がフェザーンを攻める可能性が高く、政府を安全な惑星ウルヴァシーに逃がしたらと同盟政府が工作していたらしい。
もちろん、その目的はフェザーンを反帝国に追い込む事だ。
で、その工作は成功し、現領主は首都移転を画策するが失敗。
代わりに帝国領に近すぎるフェザーンに首都防衛用巨大衛星を四つ設置する事でこの騒動は治まっている。
なお、この首都移転騒動で反対派として名を上げた男の名前はアドリアン・ルビンスキーという。
で、お姉さま経由の情報でやばいのが、フェザーン駐在弁務官事務所から送られたフェザーン要人の死亡報告なのだが、ワレンコフ自治領主の親族や側近が不自然な自殺や事故死が多発していた事だった。
誰かが自治領主の失脚を企んでいると報告書には書かれており、フェザーン駐在弁務官事務所ではその失脚を企んでいるのは首都移転騒動で同盟に組した帝国の報復とレポートに纏められていた。
実際は、地球教内部で扱いにくくなった自治領主を変えようという動きなのだが、地球教からみの情報は彼女達アンドロイドの中枢である超巨大量子コンピューターの中に眠る最重要特S級情報で、政府中枢ですらその存在を知らされず、その閲覧には最高評議会議長ですら審査ではねられるパンドラの箱。
で、それを私信という形で託されたメッセージ、
『ワレンコフ代将相当官を助けて、フェザーンに恩を売りたい』
という非公式のお願いに対してヤンが壮絶に頭を抱えたのは言うまでもない。
一人で抱え込まなければならない分愚痴りたくても愚痴れないジレンマだが、艦橋のクルーはヤンが頭を抱えた事でろくでもない事に巻き込まれたと察するだけの才能を有していたのである。
もっとも、嘆く事すら准尉から発せられた報告
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