第二幕その二
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シアの国境の宿屋での話であった。
大きいがみすびらしい外見の宿屋の前で太ったおかみが縫い物をしていた。彼女は椅子に座って鼻歌を唄いながら上機嫌で何かを縫っていた。
「私は捕まえた、青くくすんだ雄鴨を」
彼女は上機嫌で唄う。
「御前は私の雄鴨、私の可愛い雄鴨」
縫う手は止まらない。それどころか歌のリズムに合って調子よく動いていた。
「綺麗な池に放してやろう。そして空高く舞い上がれ」
ロシアの古い民謡であった。彼女はそれを唄いながらさらに縫い続ける。
「そして私の側に来ておくれ。一緒に楽しい遊びをしよう」
彼女の前を旅人達が通り過ぎていく。彼女はそれを気にも留めずに唄い続ける。客は今日はまだ来てはいなかった。だがそれでも彼女は上機嫌で唄い続けていた。
その中二人の大柄のやけに汚れた法衣を着た男が二人やって来た。髪も髭も手入れされておらず手も顔も汚れていた。一目では乞食と全く見分けがつかなかった。一人は赤い髪と髭、もう一人は黒い髪と髭であった。どちらにしろ酷い身なりであった。
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