第一話 脅迫
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や、ましてその主であるはやてなどは眼中にない。彼が見ているのは、彼女らが所有している闇の書だけだ。一体何の目的があるのかは不明だが、彼はソレを強奪することも辞さない。現実に、昨晩の戦闘がそうだ。シグナムに至っては、殺される寸前だった。
そんな相手が、今隣にいる。おまけに通信妨害か、シグナム達とは連絡が取れない。かといって、はやてを抱えて逃げるには相手が悪すぎる。今のところ戦闘の意思はないが、いざそうなってしまえば結果は目に見えている。シャマルには、男に抗う術はなかった。
『書は何処にある?』
『…………此処には無いわ』
『そうか……まぁ位置はすぐに割れるから、焦って探す必要も無い。しかし、お前達には余り時間がないようだな…………その様子だと、夜天の書は本来の機能を失ったままか。まぁ、それ故に「闇の書」などと言う不細工な名を付けられたわけだが……実に哀れな事だ』
『…………何が目的?』
『なに、久々に“作品”に触れようと思っただけだ。“夜天の書”の作成には俺も一役絡んでいてな、久々にその蓄積データの閲覧でも、と思ったんだが……昨晩の様子で、よく分かった。アレは既に壊れている、一度「リセット」が必要と、そう思っただけだ』
――――リセット。
シャマルには、その言葉が死刑宣告のように思えた。
つまるところ、この男は『夜天の書』の製作に関わっていた人物で、その主目的と元来の姿を知る人物。そしてソレを知るが故に、現状の以上を即座に理解し、ソレを訂正しようとしている。リセットとは即ちそういうこと。
しかし。それはつまり、自分と闇の書の管制人格の消滅を意味する。
その果てにあるのは、自分達の主の孤独。そしてこの男は、“ソレ”を例えはやての前でも行使するだろう。その後には、彼女の悲壮と憎悪と、復讐が待っているに違いない。その次は言うまでもない。はやては、死ぬ。
復讐に至らずとも、はやては必ず彼を止めにかかる。立つ事すらままならぬ身でも、彼を止めようとする。
しかし、この男はそんな事など気にも留めず、はやてをあしらうだろう。その頃には、彼女の麻痺はより酷くなっているかもしれない。どのみち、彼女は死に近づいてしまう。
『それに、気付いている筈だろう。お前達の意思とは無関係に、主たるこの少女の命は“闇の書”に蝕まれている。ソレを無視し、書を完成させる事が目的と言うのなら……俺が、この少女を殺してやる。
……今すぐ決断しろとは言わん。だが、遅かれ早かれ時は来る。俺の読みでは、持って一ヶ月……早ければ半月。四肢の麻痺から臓器、果ては脳、身体だけが生きているだけの肉人形にはさせたくはあるまい。騎士達の知恵たるお前なら、最良の判断が何かは分かる筈だ』
『…………だから私に会いに来たの…………それを言う為に?』
『この半
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