第5章 契約
第57話 ハルケギニアの夏休み・宴の夜
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めた。
「!」
声に成らない声、意味の無い呻きのような物を上げる青年士官たち。そして、そのまま、引き摺るように、自らの仲間たちの座るテーブルへと連れ去られて仕舞う。
それも三人纏めて……。
そうしたら、あの連中に関しては、スカロン店長に任して置けば問題ないでしょう。あの店長は、俺の腕を取って放さなかった人間です。あの程度の下士官どもなど適当にあしらってくれるでしょう。
もっとも、あのテーブルに着いている連中には、男性として別の危機が迫っている可能性も存在するとは思いますが。ただ、それも一種の社会勉強ですか。
少なくとも、俺は知りたくはない世界で有る事は確かですが。
「そうしたら、ルイズ。あの席のアホどもが飲み食いした分は俺が払うから、このテーブルの飲食代に上乗せして置いてくれるか」
無駄な出費ですが、それも仕方がない事ですかね。それに、ここは庶民が訪れる店のはずですから、そう高い価格ではないとも思いますから。
俺にはハゲンチやノームと言う式神が存在していますので、お金に困る事は有りませんからね。
そう思いながら、振り返ってルイズに対して告げる俺。
しかし、
「なんで、あんな連中に奢る必要が有るのよ。あの程度の連中だったら、アンタ一人で店から叩き出す事だって簡単でしょう?」
かなり不満げな口調で、そう言うルイズ。確かに、あの連中の相手など簡単な事。まさに赤子の手を捻るように為す事が出来ますが。
しかし、どう説明しましょう――――――――。
「あのね、ルイズ。シノブは貴女の為に、穏便に事を済ませたのよ」
どう説明したら、彼女、ルイズの顔を立て、その上で恩に着せるような結果に成らないかを、考え始めた俺の意図を完全に吹っ飛ばしてくれるキュルケ。
確かに、俺の考えが其処に有ったのは事実ですが、それを直球で伝えてどうしますか。
少し驚いたように。そして、矢張り不満げに俺を見つめるルイズ。
やれやれ。それでも、知られて仕舞ったのなら仕方がないですか。それならば、
「あの手の連中は根に持つ可能性が高いからな。もし、ここで俺やタバサ。それにキュルケの三人でアイツらを追い払ったとしても、今度は人数を増やして御礼参りにやって来る可能性が大きい」
あの、如何にも貴族然としていて、更に、頭の固い典型的な軍人の三人組に対して、何故、穏便に事を運ぼうとしたのかの理由の説明を行う俺。
もっとも、ここを二百三高地にして、俺達がステッセリ中将役となり、やつらが日本陸軍の第三軍役と成る覚悟が有るのなら簡単なのですが。
但しこの戦闘は、彼女の働く魅惑の妖精亭にかなりの迷惑を掛ける事は間違い有りませんから、流石に為す訳には行かないのですけどね。
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