第5章 契約
第57話 ハルケギニアの夏休み・宴の夜
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ぎます。
おそらく、口頭で説明を受けただけで、その程度の事ならば直ぐに為せるでしょう」
こいつらが士官ならば、ですが。ただ、この国には常備軍がない以上、雑兵は秋の収穫時期の前のこの季節に徴兵は出来ませんから、今訓練に励んでいるのは士官や傭兵たち。そんな連中が命令一下、統率された動きが出来ない方がどうかしているとは思いますけどね。
そして、更に続けて、
「それでも尚、厳しい訓練が課せられるのは、実戦時に置いて諦めない為。辛い訓練を潜り抜けて来たのだから、この程度の事ならば大丈夫だと思う心を作り上げる為」
……と、普段の俺ならば絶対に口にしない類の台詞を口にする俺。
そう。これは、所謂、精神論と言うヤツです。
但し、矢張り、最後の最期。これ以上どうしようも無くなった時には、諦めるか、諦めないかの差は大きいはずですから。その、簡単に折れない心を作る為に、厳しい訓練と言う物は課せられているのだと思います。
まして、このハルケギニア世界は魔法が支配する世界。魔法が支配する世界の精神論は馬鹿に出来ない物でしょう。
高が精神論。されど、精神論と言う感じですか。
「先ほどの歌に歌い上げられていたのも同じ事です。故郷に誰かを待たせて居るのなら、その人間は簡単に諦めたりはしませんからね」
結局、最後は諦めの悪い人間が生き残る。そう言う事。
もっとも、本当の戦争とは圧倒的な物量で相手を呑み込んだ方が勝利する物なのですが。まして、トリステインは完全に頭上を取られているから非常に不利な戦いに成るような気もしますけどね。
物理的に、上空から大質量の物を落としてやるだけで、街のひとつぐらい壊滅させる事は簡単なはずですから。
納得したような、納得していないような雰囲気のトリステイン王国軍の若い士官たち。ただ、インネンを吹っかけた心算が軽くいなされて仕舞ったので、心の中のもやもやとした物を持って行く先が無くなっただけなのでしょう。
もっとも、そんなトコロまで俺がアフター・ケアをしてやる義理はないのですが。
「さて。それでは、私の長い話に付き合って貰えた御礼に、皆様に酒を一杯、おごらせて貰いましょうか。
有名な、……炎の家系で有名な赤毛の一族と、風の家系として有名な蒼い髪の一族。それに、止む事なき家柄の姫さま達から、国と民を護る皆様への細やかな御礼です」
そう俺が告げた瞬間、やけに横柄な態度だった三人の青年士官たちの脳裏に、何か思い当たる家の名前が有ったのか、一瞬、動きが止まり、俺の後ろで、既に食事を開始していた二人の紅と蒼の少女と、そして、俺の後ろのピンク色の髪の毛の少女に順番に視線を移す。その刹那、何時の間にか彼らの背後に立って居たスカロン店長が、三人を背後から抱きし
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