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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第57話 ハルケギニアの夏休み・宴の夜
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ません。つまり、この評価はタバサの歌に対する純然たる評価。

 この雰囲気ならば、タバサは魂振りも、そして、魂鎮めも両方こなせるようになるのに、そう時間は掛からないでしょう。

「タバサに歌の才能が有ったなんて、知らなかったわ」

 自らの親友の隠れた才に感心したかのような雰囲気を発したキュルケが、タバサを抱きしめながら、そう言った。
 もっとも、何時も通りの透明な表情を浮かべたままのタバサと、彼女を抱きしめたまま、満面の笑みに彩られた表情を浮かべるキュルケと言う、非常にシュールな光景が目の前で展開していたのですが。

「タバサも意外にやるじゃない」

 そしてこちらは、何か良く判らない賞賛を向けるルイズ。何故ならば、そもそも、何と比べて意外なのか判りませんから。普通に考えると自らと比べたと考えるべきですが、ルイズが歌ったトコロを知らない俺としては、この言葉に関しては何とも答えようがない内容ですからね。
 もっとも、少なくとも、この魅惑の妖精亭内に居る大部分の人間が、この俄かの歌姫を肯定してくれて居ると言う事は、全ての人物が、今、ルイズが口にした感想に近い答えを得たのだと思いますが。

 しかし……。

「貴様ら。アルビオンとの戦が近いこの重要な時に、その様な軟弱な歌を歌っても良いと思っているのか!」

 俺達と違い、魅惑の妖精亭の広いフロアー内の真ん中で騒いでいた若い貴族たちの集団。皆、揃いのマントにつばの広い羽飾りの着いた帽子を持ち、軍杖と呼ばれるサーベル状の魔法使いの杖を持つトコロから、トリステイン王国軍の士官たちと言う事なのでしょう。
 しかし、つばの広い帽子の意味は上空から降って来る汚物対策の物ですし、その道化師じみた服装は俺の趣味ではないので、こいつらを見たトコロで格好が良いとは、俺には到底思えない連中なのですが。

 その一団の内、三人が俺達のテーブルにまでわざわざ近付いて来て、クダラナイ、殆んど言い掛かりに等しい台詞を、真ん中の一人が一歩前に出た形で俺の前に立ち口にした。
 まるで、旧日本軍の憲兵や特高に所属した連中のような物言い。実際に、見た目から青年だとは思いますが、カイゼル髭で、瞳もかなりキツイ感じの瞳。どうも万人に愛されるタイプのイケメンと言う訳では有りません。

 その言葉に対してキュルケは無視。こんなアホを相手にしたくないのでしょう。同じくタバサも無視。この三人に関しては彼女が興味を示すような相手とは思えませんので、この対応は当然だと思います。この二人に関しては問題有りませんね。
 それならば、

「これは、王軍の士官の方々とは思えない御言葉ですね」

 最後に残ったピンク色の少女が口を開いて、状況をややこしくする前にそう答える俺。但し、俺としても、この正面に現れた三人組に
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