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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
《灰刃》ノエル
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子、貰えない……?」

「無理です」

即答した。この上なく即答した。膝の上のマイの顔色がどんどん青ざめていく。

はぁ、とノエルは溜め息をつく。うわぁ、冗談と思ってたらこの人本気だったよ。

「………いいわ、分かった。ここにあるものは好きに使っていいからいつまでもいていい………」

それはいつまでもここにいろって言うことなのだろうか。

「……それに誰かに襲われたって言う点でも、ここは安心。このロッジは特殊な場所にあってね。ここまで至る道筋は、ぼくとユウキしか知らない………」

「そっか、それなら安心だね」

頷いたレンだったが、心の中でいや、と思う。

相手はこのSAOの神と言っても過言ではない、システム管理者、GMだ。

いくらここが道筋を知っていなければ到達できない秘密のそのであっても、そこがこのSAOの中であり、コードの羅列である限りはあの存在からは逃げられないし、レンがプレイヤーである限り、逃げられない。

今レンのいるここさえも、カーディナルにとっては呼吸よりも簡単に見つけ出せるだろう。そして、それはあの巫女服モドキも同じく。

黙り込んだレンの様子をどう受け取ったのかは判らないが、ノエルは軽く頷いて再びマイの真っ白な髪をひと撫でして立ち上がる。

「……少し出掛けてくる。お腹が減ったら、買い置きがあるから自由に」

もうレン達がここに泊まる事になるのは確定のようだった。

夜寝るときのことが、今から怖くて堪らない。マイも同様のことを思ったのか、青ざめる。

「……それじゃ、バイ」

ひらひらと手を振ってノエルは出て行った。後に沈黙が残される。

戒めから解かれたとばかりに、早速マイが駆け寄ってきてレンのシャツの端っこを掴む。

何でか、脳内で同類憐れみの令が発令し、笑顔を浮かべながらレンはマイの頭を優しく撫でる。

金と銀という特徴的な瞳が、鼻が触れ合うような近距離でうるうるっと潤んでいる。

「レン〜」

「はいはい」

笑って撫でる。だが、レンにはどうしてもマイに訊きたい事がある。

そのことがマイにも伝わったのか、マイも少しだけ顔を真剣なものに変える。

「マイちゃん、そろそろ教えてくれないかな。君は何者なの?」

レンのその問いに、マイは薄く笑った。

可愛らしく。

美しく。

自嘲的に。

笑った。

金と銀の両目が、濡れたように光った。
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