5 「非日常な一日」
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
り、その小さな身体を掬い取った。
『間一髪……ってとこか』
顔を覗き込み無事なことを確認すると、安堵のため息が出た。助けに来たのに目の前で死なれてはたまらない。寝覚めが悪いどころの話ではなくなる。むしろ寝れん。ただでさえアシラ装備の娘には一撃を許してしまったのだ。自分の目と鼻の先で。数分前の一瞬の逡巡がなかったら、彼女もきっと助けられただろうに。
このままでは罪悪感で死ねる。なんとかしてこれ以上怪我はさせずに村に返さなくては。あれ、この子達ヨルデ村かな、それともユクモ村かな。
装備までつけているハンターとは思えない軽量さになんだか不安を覚えつつ、弓の少女のもとへと走り、怪我を確認。やはり脂汗をにじませていた。走るのは無理と判断し、背中にのせる。彼女に触れるとき、思わず手が震えたのは、伝わってしまっただろうか。
(にしてもどっちも美人だなぁ)
顔を隠しておいて正解だったかもしれない。美人には衝撃的すぎるだろう。この醜い顔は。
背後にデュラクの気配が来た。
(タイミングがばっちりだなオイ。ま、狙ったんだがな)
武器のない青年がここにいても狩りの邪魔だし、何より負傷していると見られる少女達をベースキャンプへと送らねばならない。状況を把握していないジャギィ少女を急かすと、廃村の跡地であるエリア4へと向かった。少しでも背中に衝撃が渡らないようすり足で。
途中ブルファンゴはルイーズが気絶させ(肉を取るためではないから殺さない)、水をのみに集まっていたケルビの群れの横を駆け上り、ベースキャンプへ。ちゃんと車が待っているようで安心した。
ここまでくれば安心だろうが、昼にレウス、夜にレイアと連続で大型飛竜が渓流にやってきたことで、他のモンスターが殺気立っているかもしれない。ものはついでと護衛してやることにした。
(……しまった。俺の馬鹿野郎ッ。何自分から人と喋る機会をセッティングしてんだよ! これだからルイーズにお人好しとかなんとか言われるんだ…)
案の定疑わしげな目線で見られる。ひょっとして人さらいとかに見られただろうか。
こうなったら奥義を使うしかない。秘技・狸寝入りの術! ……一応断っておくが、これは某終わらない超長編忍者漫画に出てくる体に「愛」を刻みつけたアイツの技ではない。これの効果は、まるで本当に寝たかのように振舞うことで相手を遠慮させ、会話を一方的にシャットアウトすることができるのだ! コミュ障のあなたにオススメ!
……ごほん。
なんだか長髪の少女が青年の顔を覗き込んでいるのだが、ここで身じろぎをしてはいけない。
(耐えろ、耐えるんだ、俺!!)
そんなに醜いだろうか。いや分かっている。過去の経験からそれは百も承知なのだが、そこまでしげしげと(しかも美少女に)見ら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ