5 「非日常な一日」
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結局ハナをみつけたのはエリア9の吊り橋の上。風に揺れて怖くて動けなかったらしい。笑ってしまう話だ。ふん捕まえてルイーズとティモシーをデュラクに呼んでもらうと、涙を浮かべて喜んだ後、ガミガミと叱りはじめた。ハナは正座してうなだれている。飛竜の王の番たるリオレイアを、一目この目で見たかったようだ。
後ろからその様子を見守っていると、風に乗って人の声が聞こえた。いや、アイルーの声だ。
『ギニャ――!! もうダメニャ! 死ぬニャ! なんでこんなとこに飛竜がいるニャ――!!?』
同時にデュラクが横で唸り始める。どうやらすぐ側にその殺気立ったリオレイアがいるようだ。ふとエリア6を見ると、手負いのアオアシラが浅瀬の水を撒き散らしながら一目散に逃げ出しているところだった。様子から見て、エリア5から出てきたのは間違いあるまい。
あの声はオトモアイルーのものとみて間違いないだろう。とすると、主人たるハンターがいるはずだ。ハンターがどの程度の力を持っているか知らないが、相手は上位のリオレウスの番、ならば必然的にリオレイアも上位の個体だろう。上位を狩れるハンターがこの世界にそうそういないことは、青年も知っていた。
『人間か』
(ここで例えば物語の主人公だったら、迷わずに助けに行くのに。……でも、)
『流石に、目と鼻の先でハンターが死ぬのは、寝覚めが悪いな』
やっぱり太刀をもってくればよかった。
ぼやきながらデュラクの背に飛び乗る。ルイーズを呼んで事情を説明すると、先回りしてベースキャンプへの道を切り開いてくれるという。いつもながらこいつもなかなか頭の回るやつだ。
『行こう』
ふわりと浮き上がる。いきなりデュラクが突入するとハンター達が更にパニックになるかもしれないので、頃合を見て乱入することにした。そこらへんのタイミングは、デュラクの判断力に頼る。
ハナとティモシーにはすぐここを離れるように指示し、ルイーズと共にデュラクの背に飛び乗った。エリア6の滝の前に降ろしてもらうと、一瞬目線を交わして頷き合い、エリア5へと走り去った。
エリア移動するなり目にするのは、尻尾回転で吹っ飛ばされたアシラ装備少女と、彼女が守ったと思われるもう1人のジャギィ装備少女。そして身を翻した彼女にむかって突進の構えをするリオレイア。あの装備ではおそらく骨の1本や2本逝っているだろうに、仲間を守るため弓を構えた少女は、必死にレイアの突進の牽制をしようとしていた。ジャギィ装備の子が突進の延長線上で必死にこちらに走ってくる。その腕にはぐったりしたアイルーを抱きかかえていた。
(間に合えッ!)
上位のリオレイアの突進は、こちらの想像以上に速い。兎に角必死に彼女に向かって走
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