第28話 夢魔が飛び、魔猫が舞う(5)
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どうするのお尻ぷりっぷりちゃん。いくらあなたが優秀な魔導師? でも4対1、それもあなたの攻撃がきかない私がいる状態で勝てるとお思い?」
「お尻」の所で反射的に手を自身の臀部にかばうように当てる少女だったが、すぐにこの状況をどう打破するかを脳裏で考え始める。
どういう絡繰かは知らないが目の前の女性に自分の得意魔法が聞かなかったのは事実。それにアルフによって分断されていた相手側が完全に揃ってしまっている。
せめてアルフが戻ってきてくれればと思っていた時、タイミング良く彼女の使い魔が戻ってくる。
「うえぇ、気持ち悪い……。フェイト、無事かい」
「アルフ! うん、私は怪我もしてないけど。……大丈夫?」
頭をぐらぐらさせつつも自分を心配してくるアルフに、彼女もそう聞き返す。
それと同時に、彼女の様子と目の前のあの少年の様子を見て、やはりこの少年は一筋縄ではいかないと認識を改める。
(――フェイトごめん。こいつら意外とできるよ。だから、これ以上は)
(…ぅん。ここのジュエルシードは手に入れたし、ここは逃げよう)
そして相手に聞かれない様に念話で素早く意思を確認し合い、即座に身をひるがえし場から離れようとする。
しかし、やはりとも言うべきか、逃げを打とうとした彼女達の間をすり抜けるように一条の雷光が閃く。
「あら、こんな事やっておいて簡単に逃げられると思ってるの?」
(くっ、やっぱりこの人は――)
――何としてでも脱落させるべきだった。
杖を構えなおして振り返り対峙する。女性もそれに答えるかのように白い服の少女を離してこちらへ向かおうとするが、それを少年が止めた。
「……聞きたい事、ある」
ニット帽を目深にかぶった少年がぽつりとそう言った。帽子の間から覗く鋭い目つきとは正反対な穏やかな声と少したどたどしい口調に、少し興味が惹かれる。
そんなフェイトの心の動きとは無関係に、少年は隣の亜麻色の髪の少女に何か話しかける。少女はそれに触発されたのか、わたわたと落ち着きなく前へと出てきた。
「え、えぇっと……わっ、わたし高町なのはっ! あなたのお名前は?」
「……フェイト、フェイト・テスタロッサ」
あんまりにもほのぼのとした問答の始まりに、気抜けした気持ちになりながらも少女―――フェイトは答えた。そして呆けた気持ちをすぐに引き締める。なぜなら、次の質問は間違いなく
「ど、どうしてこんな事するのっ!? ジュエルシードは危ないものなんだよ」
「……あなたには、関係ない」
予想した通りの質問に、そう答えてすぐに身を翻す。少年の命令を受けてから動きを示さない女性はとても不気味だが、それ
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