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その答えを探すため(リリなの×デビサバ2)
第28話 夢魔が飛び、魔猫が舞う(5)
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の域にまで高められた腕力に、回転の勢いをのせて純吾はアルフを放り投げた。

「のわぁぁぁあぁぁぁーーー!」

 間抜けな声をあげながら、アルフの体が回りながら空を飛ぶ。やがて遠くで、キラーンと一つの星が光った。

「たーまにゃー♪」

「……急ぐ」

 それを見送った後再び、純吾とシャムスは川へと続く道をひた走った。





 間もなく元いた橋のある川辺に辿り着く。あの雷を放った少女の事は気になるが、まっさきになのは達の治療をするために地上を探す純吾達。
 けれどもいくら辺りを、川辺を、橋を見てもなのはもリリーも見当たらない。

「ここじゃ、ない?」

 まさか、森の中へ堕ちたのかと再び森へ戻ろうとする純吾。けれどもそれは彼の肩をつつく手によって遮られる。

「ジュンゴにゃんジュンゴにゃん」

 振り返るとシャムスが紅玉のような瞳に困惑の色を浮かべて純吾を見ていた。純吾が彼女の方を振り向いたのを確認すると、閉口したように指をつんつんと上を指した。

 その指につられて純吾も視線を、今まで気にも留めていなかった空へと移す。すると、川と森の境界線辺りでレイジングハートをぎゅっと握るなのはの姿を見つけた。呆然としているが、どこも傷ついていない彼女を見て、リリーは自分のお願いを聞いてくれたのだとほっと安堵する純吾。

「いや、そっちじゃにゃいにゃ」

 だが、シャムスの言いたいのはそうではないらしい。ならリリーの事かと、視線を横にずらす。

 けれどもそこにいたのはリリーではなく



「〜〜〜〜〜っ!」

 声にならない悲鳴をあげ悶絶している例の金髪少女がいた。どうした訳か両手をお尻にまわして、空中をぴょんぴょんはねるという器用なまねをしている。

「…………」

 それを見て、ごっそりと体力を奪われたかのような感覚を覚えながら、とても困ったように純吾はくしゃくしゃと頭を掻いた。

 いや実際、純吾はとても困っていた。自分が最後に見た光景と、あまりにも現状が違い過ぎている。それはなのはやリリーが傷ついてしまうという純吾が想定していた自体よりは、何百倍、何千倍もマシ( ・ ・ )だ。マシ( ・ ・ )だけれども、今まで自分が焦っていたのは何だったんだろうなぁ、とどうしても考えてしまう。

……いいや、今はそんな自分の事よりも

「リリー、見つけないと」

「そうね、早く見つけてもらわないとね♪」

 顔をあげ、気合いを入れなおした純吾の言葉の直後に、とても楽しそうな声が重なった。どこから聞こえたのかときょろきょろと辺りを見回す純吾の横っ腹に

「ジュンゴーーーーーっ!!」

 どこからか現れたリリーがぶつかってきて、そのまま押し倒されてしまった。

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