第27話 夢魔が飛び、魔猫が舞う(4)
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、自分のせいでこうも状況が悪くなってしまったのだ。後ろから迫ってくる圧迫感と併せて、彼女の中の不安や後悔がどんどん膨れ上がっているのだろう。
(だからこそ、私がどうにかしないというけないわよねぇ。ジュンゴにも頼まれちゃったんだし、ね)
そんな彼女の心中を察しつつ、リリーはもう一度振り返った。
「時間がないから良く聞いて、なのちゃん。これから私あの子にもう一度突っ込んでいくわ」
「えっ?」
「囮になるの。私があの子の気を逸らしてる間に、なのちゃんの一番得意な魔法をあの子にぶつけちゃって頂戴」
話している間にも木々の間を飛び回り続けながら、少女に負けないための今とれる最も良い役割分担をリリーが伝える。唐突な事であり、しかも自分が重要な役割を担うと知ってなのはが目を白黒させて慌て始めた。
「あぁもうっ、もう時間がないの! なのちゃんはただ魔法を準備してそれをぶち込む、それだけでいいの。あの子を狙いやすい場所に誘導もするし、足止めだってちゃんとするわ。そういうわけだから、よろしくねっ!」
それだけ言い残すと、リリーはなのはを掴んでいた手を放して急反転する。後ろから聞こえるなのはの慌てた様子の声を置き去りにして少女に向けて疾走。急な反転に対応し切れていない少女に向かって、上へかちあげるような軌道で羽を振るった。
「くぅぅっ!」
かろうじて杖で受け止める少女もろとも木々を抜けて月下に飛び出て、羽を振り切ることで距離をとった。しかしそれも一瞬、すぐに杖を斧状にした少女が飛び掛ってきて、羽と光の斧が火花をあげて打ち合わされる。
(やっぱり、尋常な技量じゃないわよこの子っ!)
何合も打ち合っていると、段々とリリーが押され始めてきた。なのはから意識をそらさせるために、中・遠距離での攻撃を封じしかも攻撃に徹するしかないから、戦いに関する技量の差が如実に出始めているのだ。それでも何とか動けなくなるような攻撃は防ぎつつ、なのはの準備が整うまでリリーは耐える。
「リリーさんっ!」
あと少しで少女につき崩されそうになる、その瀬戸際にようやくなのはの声が聞こえた。
その声が届いた刹那に、リリーは翼を大きく羽ばたかせ風を巻き起こしながら少女から離れる。突然の突風にリリーと対峙していた少女はつかの間腕を前に出し目をかばう。
すぐに風はやみ、それと同時に辺りを見回す少女だったがつい数瞬前まで彼女と戦っていた女性は見えず。代わりに自分と同じ年頃だろう少女の声が、圧倒的なまでの魔力の高まりと共に下方から届いた。
「ディバイーン――」
『―Buster』
「うっわぁ…。これ、本当ならオーバーキルもいい所じゃないの?」
自身の隣にいる、彼女をも覆い尽くさんとするほ
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