第27話 夢魔が飛び、魔猫が舞う(4)
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…まっ、そんな風に大ボラふいちゃったわけなんだけど)
けれども一方、リリーはそんな少女に対して表面上だけは余裕そうに振る舞い、心の中で盛大に冷や汗をかいていた。
(たしかに攻撃の読みあいで勝ってるのは事実ではあるけど、それが全てって訳じゃないのよねぇ。逆を言えば、勝ってるのってそれだけしかないんだし)
そう、今の彼女が余裕ぶっているのは虚勢にすぎず、少女の攻撃に対応できているのは、ただ全力で彼女の相手をしているからにすぎない。
確かに攻撃単体では単純かつまっすぐなものが多いが、その威力や速度は目を見張るものがあるし、近〜遠距離どこでも攻撃手段があるのも痛い。それら全てを、高度な訓練を受けたであろう見事な連携で打ち込んでくる。
正直言って、本当に余裕がない。
(ていうかっ! 下級とはいえ悪魔を相手取れる子供がいる世界ってどうなのよ! こんなの絶対におかしいわよっ)
信じもしない神に向かって盛大に愚痴をこぼすリリー。前の世界では、悪魔と人の間には絶対の壁があった。それはただの人間の攻撃が無効化されるという事であり、それ以上に悪魔を傷つけられるほどの威力のある武器を持っていなかったという事であった。
けれどもこの世界ではそれがない。自分が知らない魔法技術があるために。本当に、とんでもない所に来たと思ってしまう。
(けれども……)
リリーは目の前で自分に対して過大なまでの警戒を示している少女を見ると、口の端を嬉しげに持ちあげる。
(まだ、私にはあなた専用の切り札もあるのだしぃ? 最後の最後まで、しっかりと踊って頂戴ね♪)
そして笑みを浮かべた自分を見て、更に全身に力を入れた少女を見やりながらリリーは右手に溜めた電撃を放った。
(やっぱり、リリーさんすごい……。あの子の攻撃を全部避けきってるの)
なのはは始めの場所から一歩も動くことなく、リリーと少女の戦いをただ呆然と見上げていた。
少女が無数の光球をばらまき、リリーがそれを避け時には雷で迎え撃つ。またある時は手にした斧のような杖と鋭い爪のついた羽を打ち合わせ、甲高い音と共に火花を散らす。空中を縦横無尽に飛び回りながら繰り広げられるそれは、さながら季節外れの花火のようにも見えた。
そこまで考えて、なのははギュッと、手の中のレイジングハートを握りしめた。
(うぅん、違う。純吾君と、皆と約束したんだっ)
今までの考えを放り投げて思い出すのは、初めてあの少女と会った日。そこで新しく出発をし直そうと約束をし合った事。
いつまでも純吾とリリー達その仲魔に守られるだけでなく、本当の意味で一緒に頑張って行くのだと決めたのだ。
だから
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