第七章 銀の降臨祭
プロローグ 手紙
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ったよな。
あんたの家族を探している時も、他に困ってる人を見つけると、自分の都合も考えず助けにいったり……村を襲う軍隊に向かって行った時は、正直肝を冷やしたぞ。
だけど……楽しかったな。
人を殺すことしか出来ないと思っていたオレが、まさか、人の命を救うとか……出来るとは思わなかったから。
『ありがとう』なんて、初めて言われたよ。
あんたに付いていかなかったら、一生聞けなかっただろうからな。
なあ、シロウ。
長いようで短かい。
短いようで長かったあんたとの旅で、あんたが本当に『正義の味方』を目指していることは分かった。
だから、さ、シロウ。
怒ってもいい。
悲鳴をあげてもいい。
泣いても。
立ち止まってもいい。
逃げても……いい。
怪我……しても……いい。
だけど。
絶対に死ぬな。
死ぬことだけは許さんからな。
それだけは覚えとけ。
あとな……最初にオレが死んだのはあんたのせいだって書いているが、あれは嘘でも冗談でもなんでもない。
事実その通りだ。
お前のせいじゃないって書いても、どうせあんたのことだ。自分のせいだと悔いるばかりだろうからな。手間を省かせてもらったよ。
で、これも書いていたことだが、お前を責めてるわけでは、絶対にないからな。
本当に、感謝してるんだよ。
あんたに出会わなかったら。
あんたに付いていかなかったら。
オレはそう遠くない未来で、無意味に死んでただけだろうからな。
あんたと出会えたおかげで、オレは色々なことを知った。
人からお礼を言われると嬉しいこと。
旨い飯があるということ。
何気ない会話が楽しいということ。
人を……愛する……ということ。
なあ、シロウ。
本当に感謝しているんだよ。
お前のおかげで、オレは人になれた。
オレは……さ。
物心着く前から兵士として鍛えられ。
戦場に出ては人を殺し。
初潮が来ると、新たな兵士を作るためだと男たちの慰み者になり……遂には子供が出来ない身体 にまでされて。
そんな時だったな、オレがいた組織が何者かに潰されて、ただ一人俺だけが生き残ったのは。
生きる理由も目的も何にもないまま、一人放り出され、死ぬことも出来ず。
だから、唯一気になっていた母親のことでも調べようとあちこちまわってたんだ。
そんなオレを……お
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