7話
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度も語って聞かせてくれている。
逮捕出来るとも出来ないとも言えない。逮捕したとしても外国人犯罪の場合、多くが本国への送還、国外退去が基本である。社会的にクロスベルでは失墜しても他国では自由に生活している、なんてことは多いと聞く。
そもそも逮捕自体が難しいかもしれない。難しい配慮が必要だと。
「現場でそれを学ぶんだ。配属希望は捜査課だったな。推薦は出しておく」
ロイドが一礼していると資料を片付けたダグラス教官が講義室を出た。そして廊下を進むと喫煙室でタバコを一服して待っていた中年の教官が話しかけてきた。
「合格か?」
「先輩、あいつは今年一番の当たりですよ。成績上位者はまだ何人かいますが捜査官資格を在学中に取っちまったのはあいつ一人です。即戦力として期待できますよ」
ダグラス教官は先輩と呼ぶ中年、セルゲイ・ロウがタバコに火を付けて煙を吐き出す。
「これで人員は揃った。もっと梃子摺るかと思ったが市民の人気取りだの言われても信用失墜中の警察は動いてることを見せるために俺の案を呑んだ。財団からの導力器優先手配で予算もぶん取った」
「あとは本人たち次第ですね。出来ると思いますか?」
「期待はしているさ。あいつの本気を見て、思い出したんだからな。一生気楽な教官暮らしのつもりだったってのに、それに俺が動けばいろんな因縁も集まるのさ」
「捜査課希望のバニングスには悪い気がします」
「そいつは仕方ねえさ。希望通りとはいかないがやる気次第で何でもやれるようにしてやるんだ。壁を越える意思があるかどうか最初に見せてもらうんだからな」
警察学校は専門機関なので卒業式はなく簡素に卒業証書と警察手帳と配属辞令を渡すのみだ。
配属先はある程度希望が通ることもあるが大体は下っ端から雑用しつつ仕事を覚えていくのだから大差はないと言える。
しかしロイドは少し複雑だった。いきなり捜査一課は無理にしても捜査官資格を取っているため捜査課には配属されるのではないかと内心期待していたからだ。
ロイド・バニングス。貴殿を特務支援課に配属を命じる。
「特務支援課?聞いたことないな」
教官に聞いても新部署ではないかと言うばかりで聞いたことがなく名前だけでは何をする場所か全くわからなかった。
ともかく卒業したのでまず荷物を送り、共和国にいる身元引受人になってくれているおじさんに挨拶しなければ。そうして胸を張ってクロスベルに帰ろう。
来月から一人前の警察官だ。
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