7話
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た結果、警察学校に入ることにした。
クロスベル警察でもっとも優秀で有名な兄も在籍したエリート部署、捜査一課。
そこに入る一番の近道が在学中に捜査官資格を取ること。通常は勤務経験がなければ受けられないのだが、教官の推薦があれば受けられるらしい。
そうして始まった学校生活で勉強は元々得意だったが体力には自信がなかった。そのため座学では常にトップを維持した一方で体力テストでは下から数えたほうが早いという始末だった。結果一年目は総合的には普通の候補生として終えることになる。
しかしロイドはこの入学から実家に帰らない、休みの日も街に出ない生真面目な候補生として有名になっていた。
家庭の事情、すでに天涯孤独の身の上だったり身一つで学校に入ってくる者も少なくないため、一年中寮にいる候補生は少なくないが、街にも出ないのは珍しかった。
その間、座学はもとより体力強化を繰り返した。警備隊から出向している武術担当のダグラス教官が来てからは熱心に頼み付き合ってもらった結果2年目はクラスの委員長として周囲の支持も集める文字通り優等生として知られるようになっていた。
そうして念願の捜査官資格試験を教官の推薦で受けるまでになり、ロイドはこの2年で随分逞しく鍛え上げられたが、それでもまだまだ風貌は少年らしい線の細さを残していた。
そうした実り多き学校生活ももう終わりに差し掛かっていた。来月には卒業である。
「ではバニングス。この三つの事件の犯人はわかるか?」
講義室にロイドが一人だけでダグラス教官が問題を出している。それも黒板全体に複雑な人間関係が書き示されており、いくつもの要因が複雑に絡む事件の関係図だ。
「最初の被害者の弟が犯人です。協力者は3件目の被害者です。この二人は取引先の会社の人間という関係がありますし不自然にお互いのアリバイを証明しています。それに被害者の弟は被害者たちが重傷を負うことで抱えている問題が全て解決しています。3件全てでこれが見られるのは彼だけです」
ダグラス教官は頷いた。
「さすがだな、バニングス。実務経験なしでこの問題を解いたのは初めてだ。これまでの成績も申し分ないし卒了時には捜査官資格が取れるはずだ」
緊張感が解けて息を吐いて机に突っ伏したロイドを教官は苦笑している。
終わった。2年間やってきた努力が実を結んだ。その充実感溢れる疲労感で胸が一杯だった。
「やっと兄貴に一歩近付けたかな」
独り言を言うロイドにダグラス教官が話しかけた。
「ところでこの事件に帝国と共和国が関わっているとしたらどうなると思う?」
「それは・・・・」
その一要素が加わっただけで急に今まで明瞭に答えが出た回答が出せなかった。
座学を教えてくれる教官や現役の警察官たちも帝国と共和国の扱いの難しさを何
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