第8話
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いか?」
「う〜ん。天ちゃんが晩御飯を待ってるかな?アミ姉は、仕事だったと思う?竜は出かけてるからいないかな?」
頭に?マークを浮かべ首を傾ける辰子。その仕草が和やかな雰囲気を醸し出している。反面危なかっしい感じもする。
「(やれやれ。両親は余程過保護に育てた様だな。まあ、のほほんとしてるのは辰子の個性だな。まあ、これも何かの縁だから、彼女を自宅に送り届けるか)そうか。なら、自宅まで送ろう。辺りも暗くなってきたしな」
「大丈夫だよ。私はこう見えても姉ちゃんだから」
「そうか。なら、そんな辰子を撫でてやろう」
俺は右手で辰子の頭を撫でてやる。辰子の青い髪はサラサラして触り心地が良かった。
(うん。悠斗の手温かいな。撫でるのも気持ち良いな〜)
暫く辰子の頭を撫でてやってから、手を離して俺は立ち上がる。手を離した際に「あ!」と辰子の声が聞こえたが、それを無視して辰子の前に手を出す。
「じゃあ。帰ろうか。もう日は沈んだがな」
「うん。ありがとう」
辰子は差し出された俺の手を握る。俺は辰子の手を引いてやり、立ち上がらせる。
「じゃあな。俺は川神駅に行かなきゃならないからな」
「うん。私も、家が。クシュン!」
辰子が可愛らしいくしゃみをする。いくら日中が暖かいとは言え、日が沈めば流石に寒いものだ。 ましてや、辰子は上半身は半袖のTシャツだ。
俺は自分が着ていたパーカーを脱いで辰子に渡す。
「寒いだろう。やるよ。着な」
「良いの?悠斗は寒く無いの?」
「大丈夫だ。Tシャツが長袖だからな。それよりも、辰子が風邪を引く方が良くないからな」
「ありがとう。じゃあ、着るね」
俺からパーカーを受け取り、袖を通す辰子。
胸元まで確りとファスナーを閉めた。
それから二人で川神駅まで歩いて行った。
道中辰子と話ながらだったが、彼女に姉と妹と弟が入ることを知った。
後は、帰りの電車に乗ってから気づいたのだが、パーカーに巻き煙草とジッポーライターを入れっぱなしにしていたのだった。
悠斗sideout
辰子side
お家に帰った私は、台所で夕飯の仕度をしていた。今日、川原で会った悠斗は優しくて温かい人だった。
「〜♪」
「なんだ?辰が随分機嫌が良いじゃねえか?」←弟
「ああ。なんでも、川原で会った男がお気に入りらしいぜ」←妹
「へぇ〜。辰子にも春が来たんだね」←姉
家族の皆が何か言っているが、今の私には聞こえていなかった。
(えへへ。悠斗。また、会えると良いな)
初めて見たとき、川原で寝ている彼の寝顔は可愛らしかった。
(一目惚れだよね。悠斗の事を考えると胸がポカポカするもん)
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