第8話
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ご注文がお決まりでしたらどうぞ」
「そうだな。葛餅とお団子と緑茶で」
「はい。かしこまりました。オーダーでーすー」
女性店員が厨房に向かって行き、オーダーを伝えている。そんな彼女を尻目に、俺はパンフレットを確認する。
(ふむ。川神院は魔除けの寺院なのか。参拝位していった方が良いな。俺の厄除けも兼ねて。後は、川神院てのは武道が盛んな寺院でもあるのか。だからこそ、わざわざ揚羽様に死合いを申し込んだりする強者を輩出しているのか)
パンフレットを読んでいると、先程の店員がお茶と葛餅と団子をトレイに乗せてやって来た。
「お待たせしました。葛餅とお団子と緑茶になります」
「ありがとう」
「どうぞ。ごゆっくり」
俺の座っている席のテーブルに葛餅、団子、緑茶が並べられる。俺は葛餅を菓子切りて一口サイズに切ってから口に運ぶ。 葛餅の柔らかい食感ときな粉の程よい甘味が、口の中に広がる。
湯飲みを取って緑茶を飲む。緑茶の苦さが口に広がり、葛餅の甘さを洗い流してくれる。
「ふぅ。美味い。やはり、和菓子は落ち着くな」
「ありがとうございます。作ってる職人さんも喜びます!」
「あれ?君は戻ったんじゃ無いの?」
先程下がって行ったはずの女性店員が俺の座っている席の近くにいた。
「あはは。今は丁度、店が落ち着いてる時間ですからね」
女性店員がそう言って笑う。時計を確認すると、まだ、2時を少し回った所だ。店の中のお客さんは疎らで若い男性は俺だけだった。他のお客さんはご老人と言った年代の方達が多い。
「そうか。でも良いのかい?俺に付いていてさ?」
「大丈夫ですよ。この席は入口に一番近い席ですから。そう言えば、お客さんは観光で入らしたんですか?」
「ああ。まあ、観光がてら来てみたんだ。住んでるのが七浜だから、此方に来るのは初めてなんでね」
寧ろ、川神市まで電車で一駅しか間隔が空いてない事に驚いたよ。葛餅を全て食べ終え、団子を頬張る。みたらし団子の食感と餡の甘さが程よく口に広がりる。緑茶を口にして女性店員を見る。
「じゃあ、この街は初めてなんですか。(ラッキー!もし彼女がいないなら、チャンスね)」
「ああ。初めてだね。川神院に御参りに来るのが目的だからね」
「そうなんですか。なにか、大変な事が有ったんですか?」
「まあ、厄払いをしておいた方が良いと思ってさ。ごちそうさま。葛餅にお団子美味しかったよ。会計頼めるかな」
「あ?はい!此方になります」
席から立ち上がり、レジに移動して会計を済ませる。
「ありがとうございました。また、来てくださいね」
女性店員がニッコリと笑顔を見せる。
「ああ。縁があったらまた来ようかな。ごちそうさま」
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