第二十話「貴様を炭火焼にしてやろう」
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「いい勝負だった。また会おう、『女王』ユーナベール」
俺の言葉に彼女はふと微笑み、退場した。
『ライザー・フェニックス様の〈女王〉、一名リタイア』
これで、イッセーとの約束は守れたかな?
さて、イッセーの跡を追うとしよう。木場と姉さんが不在となった今、リアスの身が心配だ。
校舎へと足を向けると背後でレイヴェルが声を荒げた。
「ちょ、ちょっと待ちなさい! あなたたちに勝ち目はないのですよ! こんな無駄に終わることをするなら私とおしゃべりしていたほうが、ずっと健全で安全ですわよ!」
「無駄かどうかなど俺たちが決めることだ。勝ち目があろうとなかろうと、俺はただ戦うのみ」
――皆のためになると信じて、な。
「話は終わりか? なら俺は失礼させてもらう」
俺は振り向かず、リアスたちの元へ向かった。
† † †
校舎の裏手から侵入した俺はひたすら階段を駆け上る。目指すは屋上、部長のもとへ!
「くっふ……」
壁に寄りかかり込み上げてきたものを吐き出す、血だ。
くそっ、ダメージを食らいすぎた……!
レイと別れてから途中、敵の『騎士』と『兵士』二人と遭遇しちまった。一対三はかなり厳しく、なんとか辛勝したものの、俺も見過ごせないほどのダメージをもらってしまった。
血と汗にまみれた顔を拭う。木場と朱乃さんがいない今、俺と小猫ちゃんとレイだけが部長を守れるんだ。ここで倒れるわけにはいかない!
震える膝を叱咤して前に進む。もう小猫ちゃんは先に着いているのだろうか?
屋上へと続く扉が見えてきた。休む間もなく体当たりをするように扉を開く!
「部長ォォォォォ! 兵藤一誠、ただいま到着しましたぁぁぁぁぁッッ!!」
「イッセー!」
「イッセーさん!」
「イッセー先輩……」
部長とアーシア、小猫ちゃんが歓喜の声を上げた。
アーシアは小猫ちゃんの傷を治癒していた。見れば小猫ちゃんはボロボロで立っているのがやっとな状態だ。部長は肩で息をしているがアーシアと同様に傷らしい傷がないのが唯一の救いか。
ライザーが舌打ちをする。
「レイヴェルの奴、見逃したな。ユーナベールの奴はどうした?」
「ああ、それなら――」
『ライザー・フェニックス様の〈女王〉一名、リタイア』
ナイスタイミングだ、レイ!
俺はニヤッと唇の端を吊り上げた。
「うちの『戦車』が倒したよ」
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