戦場に猫
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よ。伝えておくれよ。僕は、もう一緒にいられないけれど、それでも、僕は、妹を、アンを、愛していた、と……
少年の瞳から光が霞んで、消えた。
にゃあ
猫が声を上げた。任せろとでも言うような、そんな声だった。
猫は血濡れたハンカチを咥えると、再び歩き出した。
少年は僅かに笑ったまま、動くことは、なかった。
猫は歩き続けた。
するりするりと、人の入り乱れる戦場を歩きながら。
ふと、人の波が切れたとき。猫は、空を見上げた。
青い空から、透明な雨が降り始めていた。
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