暁 〜小説投稿サイト〜
戦場に猫
戦場に猫
[2/2]

[9] 最初
よ。伝えておくれよ。僕は、もう一緒にいられないけれど、それでも、僕は、妹を、アンを、愛していた、と……

 少年の瞳から光が霞んで、消えた。


 にゃあ


 猫が声を上げた。任せろとでも言うような、そんな声だった。

 猫は血濡れたハンカチを咥えると、再び歩き出した。

 少年は僅かに笑ったまま、動くことは、なかった。



 猫は歩き続けた。

 するりするりと、人の入り乱れる戦場を歩きながら。

 ふと、人の波が切れたとき。猫は、空を見上げた。

 青い空から、透明な雨が降り始めていた。

[9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ