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スーパーヒーロー戦記
第59話 凶悪犯、その名はヴォルケンリッター!?
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……あああぁぁぁぁぁ!」

 フェイトは青ざめて絶叫した。大切な友達を助けようとやってきた筈が逆に自分がその大切な友達を傷つけてしまったのだ。
 そんなフェイトとヴィータの目の前で、鮮血を噴出したなのはは重力に従い、地面へと落下し、堅いアスファルトの上に倒れた。その周囲が赤い鮮血で染まって行く。

「ちびっ子……てめぇ!」
「なんで……なんで?」
「なんでだよ! あいつはお前の友達じゃなかったのかよ! それを何でてめぇは……この、この悪魔!」

 ヴィータが怒号を上げた。
 その言葉を聞き、フェイトは驚愕した。
 悪魔、まさかそんな事を言われるとは思ってもいなかった。
 だが、側から見ればフェイトを悪魔のように見るのも無理はないだろう。大切な友達であった彼女を無情にも斬ったのだから。
 こんな時、なのはだったら何て自分を励ましてくれるのだろう。フェイトはそう考えていた。だが、そんなフェイトの思いとは裏腹に、目の前に倒れていたなのはは、誰に対しても、一言も声を発する事は出来なかった。
 そんな時であった。突如上空から一筋の雷光が飛来する。その雷光は張られていた魔力結界を一撃の元に破壊する。恐ろしい力であった。
 それに驚くアースラメンバー達。

「今だヴィータ。高町を連れて此処から離脱するぞ!」
「あ、あぁ……分かった!」

 シグナムの言葉を聞き、ヴィータは我に返った。誰が破ったかは知らないがこれは好都合だ。
 ヴィータは目の前に倒れているなのはを抱え上げ、上空へと飛び上がった。

「あ、なのはぁ!」
「覚えてろてめぇら! あたしらの大事な仲間を傷つけた礼は必ずしてやるからな!」

 振り返り、フェイトに向いヴィータはそう言い、そのまま空へと飛び上がった。
 追いかけようとした時、その周囲に突如ガスの様な物が振りまかれた。
 それはTFOから放たれた特殊煙幕であった。
 魔力防御の能力もありその中ではサーチも何も出来ない。
 その隙に一同は逃げ延びたのであった。煙幕が消えた後には誰も残っていない。

「逃げられたのか……」

 その事実を知り、激しく落胆するクロノ。他のメンバーも同じ面持ちであった。
 仇を取れなかった。その事実が重く彼等の圧し掛かっていたのだ。
 だが、そんな中、一人別の事実に心を押し潰されようとしている者が居た。

「どうして? どうしてあんな奴等を庇ったの? 何でなの……なのは」

 フェイトは、既に守護騎士達の手により連れて行かれた親友の名を呟いた。
 彼等は凶悪犯なのだ。大切な仲間を殺し、今尚更に残虐非道な行いをする腹積もりをしているに違いない。
 だが、そんな彼等をその親友は庇ったのだ。
 身を挺して、自分の放った凶刃を体を張って防いだのだ。

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