第57話 戦闘マシーンに人の心を
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彼とて鬼ではない。特訓を終え戻ってきた鉄也に対しそっと頭を撫でてくれた。それが鉄也には何よりも嬉しかった。あの人に褒められたい。あの人に認められたい。
その一心で鉄也は地獄の特訓に耐え続けた。その結果もあってか、今の戦闘のプロ、剣鉄也が完成したと言える。
「そんな過去が鉄也さんにあったんですね……でも、何で私に教えてくれたんですか?」
「正直、俺は誰も信用してなかった。どいつにも家族が居て、皆温かな家庭を知っている。そいつらと居ると自分が惨めに思えちまってな」
鉄也が今まで皆から遠ざかっていた理由。それは彼自身が孤児だと言う理由に対する後ろめたさからであった。そして、家族を持ってるアースラ隊に対しての嫉妬感から来ていた事だったのだ。
女々しいだの何だの言う輩は彼の辛さを知らないからだ。幼い頃から孤児として育ち、過酷な人生を生きてきた彼の心の内を。
そして、その心の内を打ち明けたと言う事は、鉄也がフェイトを信頼したと言う事への表れでもあった。
「そうだったんですね。でもそれを聞いて安心しました」
「何? どう言う意味だよそれは?」
何とも以外な言葉に鉄也が首を傾げる。
「だって、鉄也さんが皆を遠ざけていたのは自分の中にある辛い過去を思い出したくないからであって、別に本当に戦力にならないからと言う訳じゃなかったんですね」
「なっ、何言ってんだ! お前等が戦力不足なのは当然の事だ! それにお前等が飛び回ってられると邪魔だってのも同じように事実なんだからな!」
「今更言っても意味ないですよ、鉄也さん」
「ちぇっ、調子の良い奴だぜ」
鉄也の内心を知ってしまえば彼の言う皮肉も何処か可愛げがある物である。そして、フェイトが鉄也に関わるのにはまた別の理由もあった。
(鉄也さんは、何処か私に似ているんだ。家族の温かさを求める余り意固地になってたんだなぁ。そして、私も母さんに褒められたくて必死になって戦ってた。何だか鉄也さんの気持ちが分かる気がするな)
かつてフェイトも母プレシアに認められたい一心でジュエルシードを集めていた。その際になのはや仲間達と出会い、そして共に戦う事の素晴らしさ、凄さを肌で知った。だからこそ、それを同じように彼にも教えてあげたいのだ。
個々の力では限界がある。だが、力を合わせればそれは無限大になるのだと。
「ったく、もう止めだ止めだ! これ以上居たって時間の無駄にしかなんねぇや。帰って特訓するぞ! 今日からグレード上げて厳しく行くから覚悟しておけよ!」
「宜しくお願いしますね。鉄也さん」
「ふん、後で吠え面かいても知らねぇからな」
今更皮肉を言ってももうフェイトには効かなかった。彼の内面の弱さを知り、そして人の心を知る事が出来た。それだけでもフェイト
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