第26話 夢魔が飛び、魔猫が舞う(3)
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ねくねと体をくねらすリリー。
途中まで真剣な顔をしていたのに、最後はやっぱりどこか残念な彼女の様子になのはは本当にいつもの彼女に戻ったんだと安堵に似た脱力を感じながら確信した。
「ふぅ〜。さて、お嬢ちゃん? 今すぐあのワンちゃんにジュンゴ達をここにつれ帰させて、『リリー様と鳥居純吾様は有史始まって以来のベストカップルです、私ごときが茶々を入れてしまい本当に申し訳ございませんでした』って言うんなら、特別機嫌のいい私の恩情によって何もしないでここから帰らせてあげるわ」
どうする? と、下の方でなのはが「そんな無茶苦茶なの!」と言っているのを無視してリリーは橋の下にいる金髪の少女に問う。
それに対し少女は無言のまま鎌を持ちあげ、戦闘態勢を示す事で答えた。
「何よぅ、ちょっとからかっただけじゃない。そんな真面目だとあなた友達できないわよ?」
「……必要ない。今私が欲しいのは、その子の持っているジュエルシードだけ」
リリーの性格を大体把握したのだろう、突飛な行動をとろうが茶化したような言葉を聞こうが、少女の心は、瞳はもう揺るがない。
ただ一点、自分の求めるものだけを見据えていた。
「――でぇ? やっと言葉が通じたと思ったらこれだもんねぇ。
じゃあ決定ね、なのちゃんを守ってってジュンゴからお願いされた事だし」
そう言い終わった直後、リリーの体が暗闇に包まれ、またすぐに出てくる。
しかし、その姿はつい直前までのゆかた姿ではない。
「…きれい」
橋の下から見上げる少女が、目の前の女性は敵だと分かっているにも関わらず思わずといった風に呟いた。
リリーが今身につけているのは、初めてこの世界に来た時に着ていた白のレオタード。
喉のあたりから足の付け根までしか丈のないそれは、リリーのほっそりとしたスタイルをくっきりと浮かび上がらせている。それは彼女の持つ美貌と、そして夢魔としての特性もあり、本来その姿からは淫靡な印象しか受けないであろう。
だけど、煌々と照る月の光を一身に浴びる今のリリーは彼女自身が白く輝いていて。
たとえ本性が酷くおちゃらけたもので、その翼は悪魔のものであろうとも、少女には暗闇から月の女神が現れたように見えた。
「久しぶりの本気モードね。
……あとなのちゃん、あんまり呆けてないで。私もサポートするけど自分の身は自分で守れるようにしてね」
自分に注がれる二つの視線を感じ、リリーがくすぐったそうにもう一人の少女に指示をする。
その言葉に、「はわわっ」と慌てたようになのははレイジングハートをかざし、バリアジャケットを身に纏う。
「さって、呆けちゃってる間に準備もできた事だし。人の言う事を聞かない悪~い子は、きっついおしおきよ!」
何
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