第26話 夢魔が飛び、魔猫が舞う(3)
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いつも通りのリリーが戻ってきた、彼女の声を聞いてなのははやっと理解する。普段だったらその傍若無人振りに文句の一つでも言っていた所だが、今だけはそんな彼女の様子に心底安心できる。
本当に酷い事が起こらなくて良かったと、なのはは泣き笑いにも似た衝動に駆られた。
「って、そーよ! ちょっとそこのあんた!」
そんな少女の心を知ってか知らずか、自分の関心の赴くままにリリーは興味をなのはから金髪の少女へと移す。少女へと向けた視線は敵意は含んでいたものだったが、殺意は微塵も感じられず、「私、怒ってます」とでも言いたげな軽いものだ。
「……何?」
そんな突然の変化に少女はついていけず、愛機を握る手に力を込め、リリーの動作を一挙一足たりとて見逃さまいと警戒心を強めた。
「あんたん家のあの駄犬! ジュンゴをたぶらかすばかりじゃなくて連れて逃げるなんて何考えてるのよ!
し! かぁ! もぉっ!! 私に向かってずっと一緒って! 一緒に生きていくって言ってくれてる最中だったのにぃぃぃぃぃぃぃ!
絶対意識してなかったけど、ジュンゴの貴重なデレシーンだったのよーっ!」
もうちょっと夢見させてくれてもいいじゃないのよー! そう言いながら空中で地団駄を踏むほど悔しがるリリー。
そのあまりにもあんまりな理由に、少女は身構えていた肩をガクッと落とし、なのはは抱え込んでいた頭をべしゃっと地面にぶつけてしまった。
「えぇと…、その事でずっと唸ってたんですか?」
「あったり前でしょう! それ以外に何があるって言うのよ?」
「え、えぇ…その。前の事とか、純吾君が、どこかに転移、させられた事、とか……」
その言葉を言った傍からなのはは後悔する。ようやくリリーがいつもの調子に戻ったというのに、自分は何をぶり返そうとしているだ、と。
「あ〜。それがさっきの“踏ん切りついた”よ」
けれどもなのはの不安は当たらなかった。彼女の言葉を聞いても、リリーは怒ったような反応を全く起こさなかったからだ。
「あの事への仕返しだけはどうしても我慢できないって、自分でも思ってたんだけどね〜。
私の事を考えてくれて、私の為にそれはやめてくれなんて言われたら、復讐なんてやってる場合じゃないっ! て思っちゃって」
気恥ずかしそうに頬をかきながらリリーはそう言う。
「何だか気持ちあっちにフラフラこっちにフラフラしてる感がしなくもないけど。結局私はジュンゴ中心に動いてて、彼がそう望むんならそれを叶えたいってどうしても思っちゃうのよ。だから、復讐に踏ん切りつけることにしたの。
……なんたってそれが私と生きるためだなんてねーっ!」
うはーまた思い出しちゃった! 最後の最後で様相を崩し、く
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